2021年02月23日

接吻

 小池栄子が女優賞をとりまくった作品。東京では単館上映だったので見逃してました。同じ建物でやっていたブラブラバンバンと2択で、ブラブラ〜という珍作を選択していまった、自分の間抜けさを反省しています。

 【ストーリー】
 中年の無職男坂口(豊川悦司)が、理由もなく近所の一家を惨殺するという猟奇事件を起こし、死刑判決になった。陰気で恋人も友人もいないOL京子(小池栄子)は、逮捕される瞬間に坂口がカメラに向けた笑顔に、彼こそが自分と同じ孤独な人間だと直感する。

 国選弁護人の長谷川(仲村トオル)に、坂口との接見を申し込む京子。何も供述しない坂口に対して、弁護をあぐねていた長谷川は、京子が坂口に近づくことで、彼が人間らしい感情を取り戻すのではと期待するのだが。





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 【感想】
 「20世紀少年」の予告をみたら、小池栄子の不気味な笑顔が印象的だと思うが、その原点はこの映画にありました。獄中の坂口に近づこうとする京子がマスコミに囲まれたときに見せる凍り付いたような笑顔。それは、おまえらと自分違うんだという優越のようにもみえるし、世間とか僕らが住んでいる常識とはかけ離れたところにいってしまった狂った笑顔でもある。トヨエツの笑顔も狂気をはらんでいたけど、小池の笑顔は、まさに逝ってしまったもので、それまでの地味なOL役との対比が劇的で、その笑顔だけで女優賞をとれたと思う。クライマックスで、この笑顔のまま「ハッピーバースデー」を歌うのだが、こんなに不気味な「ハッピーバースデー」は二度と聞きたくない。グラドル出身でバラエティーでよく見るけれど、こんなにすごい演技ができるとは思わなかった。

 さて、凶悪事件の犯人に女性がはまるというのは、池田小学校事件の死刑囚が獄中で結婚したり、市橋容疑者のファンクラブができたりなど実際に起こっている。常識から考えると、「何でそんなこと」と思うのだけど、人間の狂気、闇といったものが、そこに出ている。孤独をキーワードにして、愛情というよりも同志愛に近いものがあるとしたのはいい発想。

 ただ、主要人物が3人しか出てこない心理劇なのに、坂口、京子に比べて、長谷川の人物描写が今ひとつ掘り下げられていないのが欠点。常識、世間の代表としてステレオタイプでしか描かれていないのに、彼が京子に対してだんだん惹かれていくのがよく分からない。もし、常識的な人間にも闇に惹かれる要素があるということを打ち出したいのなら、もう少し長くしてほしかったのに。
 
 接吻というタイトルの意味は、観客に解釈を投げており、作品全体の雰囲気とあいまって、近年の邦画では珍しく考えさせられるもの。西洋人ならキスなんてあいさつ代わりなのに、日本語で接吻とすると、ずいぶん、重く複雑になるから不思議なものだ。そして、それはこの映画自身についてもいえるのかもしれない。採点は7.5。 
posted by 映画好きパパ at 22:35 | Comment(0) | 2009年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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