2021年02月23日

スペル

「スパイダーマン」のサム・ライミ監督が、自分の原点のホラーに戻ったということで楽しみにしていた作品。笑いと恐怖は紙一重ということをよく理解してある明るく楽しいホラーで、鑑賞中は笑いそうになったけど、家に帰ったら結構、怖かったです。エンタメはやはりこうでなくちゃ。

 【ストーリー】
 平凡な銀行の貸付係クリスティン(アリソン・ローマン)に、ようやく昇進のチャンスが出てきた。支店長(デヴィッド・ペイマー)にいいところを見せようと、貧しい老婆ガーナッシュ夫人(ローナ・レイヴァー)への不動産ローン延滞を断ってしまう。

 ところが、クリスティンの態度に怒りを覚えたガーナッシュ夫人は、呪いの言葉(スペル)をはきかける。それはジプシーの呪いで、3日以内に解かなければ死んでしまうというものだった。その晩から恐ろしい現象が彼女を襲い、クリスティンは恋人のクレイ(ジャスティン・ロング)とともに、何とか呪いを解く方法を探そうとする。





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 【感想】
 予告編から、呪いが本当にあるのかどうかをちらつかせる心理的なホラーかと思いきや、昔ながらの単純なものでした。オープニングも、50〜60年代のB級ホラーを彷彿させ、そこに「リング」「呪怨」といった日本のホラーのハリウッドリメイクにかかわっただけあり、休む間もなくお化け屋敷のように脅かしまくるサービス精神には敬服します。単に残虐描写を見せればいいという最近のブームとは一線を画しているので、とにかく面白かった。

 でも、話の筋としては、ゾンビとかに襲われるよりは、実際にありそうに思えてしまうから不思議なもの。クリスティンは、普段は心優しく、田舎から出てキャリアをアップさせようと必死になるがんばり屋。それが、恋人の母親に農村出身であると陰口をたたかれ、銀行の嫌な同僚から自分のキャリアを守ろうと、たった一度、厳しい行動をとってしまう。それも、特別に意地悪ということではなく、銀行員であれば当たり前の行動をとっただけ。それなのに理不尽な目にあってしまうというのは、ある意味現実でも(もちろん、呪いなんてないにしても)、似たようなことが起きるかもしれない。

 また、アリソン・ローマンが、田舎で「ミス・ポーク(ブタ)」なんてありがたいのかありがたくないのか分からない称号を得て、都会にでたら、キャリアウーマンにみせようと、大好きなアイスクリームを我慢してダイエットしているあかぬけない容貌や行動をしているから、なおさら彼女に同情がわく。さらに、最近流行の戦うヒロインであっても、どこかどんくさいところは、ほほえみすら感じる。「ビッグ・フィッシュ」ではあんなに可憐だったのに、本作では、汚物まみれになったり、泥まみれになったり体当たりの演技に感心してしまう。でも、たった一度の過ちが、平凡で善良な女性にどんどん不幸を招くというところにおかしさを感じてしまうのは、サム・ライミの底意地の悪さと、まったく安全地帯にいる観客のS心というものか。

 制作は以前だけど、公開がサブプライム問題後だったため、銀行員が不幸に陥るというストーリーが受け、米国では批評家からは絶賛、興行的にもそこそこ良い数字を収めています。けれども、日本では、こういうおバカホラーは受けないんだよなあ。大音響やBGMで脅かすので、映画向けだけど、上映期間が短縮されるようなので、興味がある人はぜひどうぞ。採点は7・5(TOHOシネマズららぽーと横浜)
posted by 映画好きパパ at 22:40 | Comment(0) | 2009年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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