【ストーリー】
いじめで高校中退して以来、引きこもり・ニートでパソコンばかりしていた真男(小池徹平)は、母(朝加真由美)の事故死をきっかけに就職を決意。学歴のない彼を雇ってくれるところはなかったが、唯一、黒井システムの黒井社長(森本レオ)が彼をプログラマーとして採用してくれる。
ところがそこは、能力がないのに威張り散らすリーダーの阿部(品川祐)、リーダーの腰ぎんちゃく井出(池田鉄洋)、人とまともにしゃべれない上原(中村靖日)ら変な社員ばかり。しかも、サービス残業が大量にあり、徹夜もしょっちゅうという最悪な職場環境だった。唯一の常識人藤田(田辺誠一)の助けをかりながら、何とか働く真男(マ男)だったが、パワハラ、過労死寸前の状況に、うちのめされていく。
ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村
【感想】
仕事というのは人や業種によって違うとはいえ、労基法も働く人の人権も無視して、過労死、ノイローゼに追い込む企業というのは、日本中に転がっているのが現実。それなのに、その状況を全面肯定して、ただ、頑張れば何とかなるというような内容は、いかがかと思ってしまう。
実際僕の回りにも、リーダーや井出のような人はいるし、働いていれば大なり小なりそうした嫌な奴や、嫌な仕事をした経験はあるだろう。でも、小池徹平はどんな目にあっても、さわやかな顔だし(せめてメークでやつれた顔にすればいいのに)、リーダーのむちゃくちゃも、しょせん、小物(悪気がない。大人の世界は足の引っ張り合いでしょ)。だから、全然、大変さが伝わってこない。僕だったら、それを逆手にとって、ブラック企業の馬鹿さ加減をコメディチックに描けばいいじゃん、と思うけど、本作では、コメディチックに途中までしながらも、最後は、みんなでガンバロー的な、働くことの大切さを訴え、泣かせに入るという、ありさま。佐藤監督って「キサラギ」がフロックだったの?
せっかく派遣切り、リストラなど労働問題が深刻化しているのだから、もっと真っ正面からこうした取り上げてほしかった。それから2ちゃん発とうたうのもそろそろ賞味期限切れ。「電車男」はタイミングといい、山田孝之のいかにもオタクっぽい独特の雰囲気をだした演技といい、はまっていたなあとつくづく思う。
そんななかこの映画を救ったのが、エンディングロール後の森本レオのつぶやき。やはりブラックなのが好きなんです、僕は。まあ、そういう難しい話をぬきにすれば、イケテツのコミカルな動きとか、小ネタはそれなりに面白かったし、努力すれば報われるという、王道のストーリーなんですがね。採点は5.5(TOHOシネマズららぽーと横浜)
【2009年に見た映画の最新記事】