昨年映画館で見た本数は431本。この中で、溝口健二、ビスコンティなどのリバイバルを除いて、自分のお気に入りのベスト10を邦画、洋画それぞれ選出しました。きょうは邦画編です。
相変わらず、観客動員数とも評論家受けとも無縁なランキングだと、自分でもつくづく思います。ずば抜けた映画はないけれども、平均的に良い作品がそろっていたのが今年の特徴で、10本選ぶのに苦労しました。いずれも愛しい作品です。
1、包帯クラブ
2、秒速5センチメートル
3、キサラギ
4、夕凪の国桜の街
5、アヒルと鴨のコインロッカー
6、選挙
7、天然コケッコー
8、それでも僕はやってない
9、朧の森に棲む鬼
10、転校生〜さよならあなた
次点、陸に上がった軍艦
続いて個人賞です。
監督賞 周防正行(それでも僕はやってない)
周防監督の11年ぶりの新作は、今の日本社会の矛盾を面白くかつ忠実に描いた傑作。周防監督以外にこの作品は取れなかったでしょう。
主演男優賞 市川染五郎(朧の森に棲む鬼)
圧倒的な存在感をもって、悪の極みをつくした男を好演。これまで気の弱い役がおおかったけど、父、幸四郎譲りの名優ぶりには感心しました。
主演女優賞 麻生久美子(夕凪の国桜の街)
「包帯クラブ」の石原さとみと迷ったけど、存在感とともにはかない美しさを表現した麻生が一枚上。これまで多くの作品に出演しているけど、美人とは思えなかったのに、そのイメージが一変しました。
助演男優賞 香川照之(キサラギ、スキヤキウェスタンジャンゴ、14歳他)
日本を代表する演技派といっていい存在。キサラギの愛情をもったコメディ、スキヤキウェスタンジャンゴの小心な保安官、14歳の管理教育の教師と幅広い役柄をなんなくこなしているのはさすが。
助演女優賞 永作博美(腑抜けども、悲しみの愛を見せろ)
かつてのアイドル女優が見事に演技派に転進。「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」のような、多少変な役はだれにでもできそうに見えるけど、彼女ほどナチュラルに演じられる人はいなかったでしょう。
新人賞 東亜優(赤い文化住宅の初子)
辛気臭いストーリーを爽やかな話しにとどめられたのは、彼女の存在がすべて。これからが楽しみです。新垣結衣(恋空、恋するマドリ)、夏帆(天然コッケッコー)も考えましたが、新垣、夏帆がドラマやCMで見ているのに、東は初めてみた女優なので評価しました。
2021年02月25日
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