2021年03月03日

山のあなた 徳市の恋

 70年前の清水宏監督の名作「按摩と女」を石井克人監督がリメイクした「山のあなた 徳市の恋」。ここのところ、リメイク作品に期待はずれが多いけれど、本作は、これぞリメイクする意義があったというべき佳作です。

 【ストーリー】

 目の不自由な按摩、徳市(草なぎ剛)と福市(加瀬亮)は、暖かくなると山あいの温泉場にやってくる。勘も鋭く、目明きを追い抜くのを趣味にしている徳市に比べ、福市はのんびり屋だ。

 途中、乗合馬車が彼らを追い越した。徳市は、東京から来た美しい女性が乗っているのに気づく。美千穂(マイコ)というその女性から按摩を頼まれた徳市は、いつしか彼女に引かれていく。



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 【感想】

 オリジナルの「按摩と女」はよほどの映画ファンでないと知らないのではないか。僕もまったく知らなかった。こういう埋もれた名作をリメイクで現代の映画ファンに紹介したい、というのはリメイクとして立派な動機。

 さらに、オリジナル脚本を大切にしながら、草なぎのほか、加瀬、三浦友和、堤真一ら、しっかりとした演技ができる俳優をそろえた。子役の広田亮平も含めて、皆、現代の俳優が当時の人になりきっている石井監督の演出は見事。広田のしゃべり方など、小津映画に出てくる子役そっくりだ。「椿三十郎」「隠し砦の三悪人」の黒澤リメイク作品が、全然、当時の人になりきっていないのとは大違いだ。

 草なぎは、普段は温厚だけど、激すれば激しいという役柄を、盲人の杖というアイテムをうまく使いながらこなしていた。この人、テレビでは気弱ないい人という役柄が多いけど、それだけではなく気性の激しさが有ったほうが、より似合っていると思う。昔、「沙粧妙子」のスペシャルドラマで連続殺人犯役をやっていたけど、いつも同じ善人ばかりじゃもったいない。ちなみに、石井監督の前作、「茶の味」で草なぎはカメオ的な出演をしており、石井監督のファンなのかもしれない。

 また、マイコも映画初出演ながら、立ち居振る舞い、浴衣姿などまさに往年の邦画から取り出してきたような雰囲気がある。キャスティングについては、ちょい役の女子学生たちも含めて完ぺきではないか。

 話自体は古めかしいというか、今時のこってりとしたストーリーに慣れた人から見れば、平板、退屈なのかもしれない。けれども、美しい日本の風景や、登場人物たちの大人の演技などがそれを補って余りあった。入場料も1000円だし、ほっこり癒やされるというキャッチフレーズ通りの作品。ただ、温泉街での映像が、いかにも合成です、といった感じだったのがいただけない。何か特殊な取り方をしたのだろうか。採点は7.5。(渋谷アミューズCQN)
posted by 映画好きパパ at 22:57 | Comment(0) | 2008年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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