2021年03月03日

アフタースクール

 長編デビュー作、「運命じゃない人」で映画ファンをあっと驚かせた内田けんじ監督の新作「アフタースクール」。これ以上望めない最高の配役で、前作に負けない巧みな構成に、だまされないと用心していた僕も見事ひっかかりました。ただ、技巧を楽しむ作品で、心に残る作品かといわれると? とにかく、予備知識なしに映画館にいくことをオススメします。

【ストーリー】

 とある中学校。放課後、女子生徒の美紀(五十嵐令子)は同級生の木村(吉武怜朗)をげた箱に呼び出し、ラブレターを渡した。それから20年近くたち、木村(堺雅人)はエリート商社マンになり、一緒になった美紀(常盤貴子)は出産間近の大きなお腹をしている。ある日、中学時代からの2人の親友で、近所に住む中学教師の神野(大泉洋)の外車を借りて、木村は会社に出かけた。だが、その晩、ミキがいよいよ産気づいたのに、木村と連絡がとれなくなる。あわてふためく神野。

 一方、木村の勤務先の商社でも彼の行方不明が問題になっていた。木村が謎の美女(田畑智子)とホテルで会っている写真を見つけた社長(北見敏之)たちは驚き、急いで木村を発見しなければと、食いつめた探偵北沢(佐々木蔵之介)に木村探しを依頼する。北沢は母校の中学校に卒業生と名乗って潜入し、そこで出会った神野を言いくるめ、木村探しに協力させる。






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 【感想】

 中盤までは一本調子で木村探しがタラタラ続く。ときおり、小ネタもあったものの、どうということのない作品だ。このまま、終わるわけないのに、といぶかしく思っていたら、あるシーンを境目に怒濤のごとく物語はすすみ、それまで見ていた光景ががらりと変わる。2転3転というが、この物語の場合、5転6転どこまでいくのか分からない。前半の何気ないセリフが、すべて、後半の伏線となっている。この脚本の巧妙さは、ただただ感心するばかり。

 脚本のヒネリでは「キサラギ」と比べられるかもしれないけど、あちらは、ある程度次の展開が読めるように、ちらちらヒントを出していたのに対して、この作品は観客の度肝をぬかそうとしているのか、そんな親切はない。前半の段階で結末がどうなるか分かったという人がいたら、超能力者でしょう。

 しかも、そういった仕掛けを楽しむだけでなく、恐らく2度、3度みたら、このときの登場人物がこういう表情をしていたは、実はこういうわけだったのか、と納得できるシーンが、そこらじゅうに転がっている。

 そして、何よりも配役の妙。堺、佐々木は基本的に善人役が多いけど、いつも笑顔の堺は何を考えているか分からないところがあるし、佐々木も「秋葉原@ディープ」では粘着質な悪役がはまっていた。そして、大泉のおちゃらけも、どこまで本当か分からない。つまり、だれが善人でだれが悪人か、分からない役者を持ってきてるのだ。撮影ではそれぞれの場面で全然違った表情をとらなければならず、大変だったと思う。さらに、常盤、田畑も終わってみればなるほどなあと感じ入る。この5人は、他の俳優が思いつかないほどはまっていた。

 それ以外の脇役も、中学生役も含めて、よくこういう配役ができたなと思わせるほどうまくできている。たぶん、映画やテレビ、演劇ファンほど、ころっとひっかかるに違いない。この俳優が好きだとか、嫌いだとかがある人も、ない人も、この映画はオススメ。

 ただ、「友達の本当の姿をしっているか」や、後半に結構、重たいセリフがあるのだけど、仕掛けの方に目を奪われてしまって、そこらへんをかみしめられなかったのが事実。たぶん、2度、3度見れば、また見方は変わるのだろうけど、傑作とはいえ大傑作とまではいかず、「運命じゃない人」を見たほどの衝撃はなかった。採点は8。エンドロール後までお見逃しなく。(渋谷シネクイント)
posted by 映画好きパパ at 23:04 | Comment(0) | 2008年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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