【ストーリー】
1960年代のフランス、大物ギャングのギュ(ダニエル・オートゥイユ)は脱獄に成功して、かつての仲間の未亡人、マヌーシュ(モニカ・ベルッチ)のもとへ向かう。そのころ、マヌーシュの店が何者かに襲われた。彼女は忠実な部下アルダン(エリック・カントナ)に守られるが、自宅に帰ったところを2人組のチンピラに襲撃される。
間一髪のところにギュが現れ、2人を救い出す。チンピラのボスは、堅気を襲っても平気なジョー(ジルベール・メルキ)だということが分かった。ジョーに復讐しようとするが、間一髪のところで逃げられてしまう。自分の昔風のやりかたが時代遅れだと悟ったギュは、国外逃亡のために、大仕事を計画する。一方、ギュの動きを追っていたパリ警視庁のブロ警視(ミシェル・ブラン)は、罠をしかける。
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【感想】
ダニエル・オートゥイユ、エリック・カントナといった、渋い中年男たちの魅力にクラクラ。金は大事だが、何よりも重要なのは名誉で、そのためには自分の命すら惜しくない彼らこそ、まさにハードボイルド。そこに、金髪にしたモニカ・ベルッチが、エロくて気の強い情婦といういかにもはまった役柄で登場するので、うれしい。
ギュが刑務所に服役中に、彼のやり方は時代遅れになってしまう。堅気に迷惑を掛けない、というギャングの暗黙のルールはどこかへ消え、警察とつるむことすらある。若いちんぴらにも、ちゃんと仕事ができるのか?とバカにされる。自分が時代遅れと知った悲しさと、それでも自分のやりかたを徹底するギュの生き様。そして、とぼけたように見えて、いかにも切れ者のブロ警視の仕掛ける罠にはまり、自分の矜持を傷つけられたときの怒り狂った表情。洋の東西こそ違え、高倉健のヤクザ映画を見ているようでした。
そして、ファッション、ヘアスタイル、自動車といった当時の風俗をきちんと再現しているのも、おしゃれ。古き良き時代というのか、男が男であった時代とでもいうべきなのか。リメイクだけど60年代の映画をそのまま見ているようにすらみえた。2時間半近い大作だけど、最後まで画面にひきつけられた。
ただ、僕はラストにギュとブロがとった行動が理解できなかった。ギュのほうは、まだ犯罪者だから、観客の気持ちにそのまま従う必要はないけれども、ブロの行動は整合性がとれない。ブロが最後、別の行動をとっていれば、もっと評価は高かったのになあ。採点は6.5(渋谷シアターN)
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