2021年03月20日

サウスバウンド

 森田芳光監督の新作「サウスバウンド」。トヨエツが元過激派の奇抜なオヤジをノビノビ演じていたけど、あまりにも森田色が強くてダメでした。

 【ストーリー】

 東京・浅草に住む上原一家。父親の一郎(豊川悦司)は元過激派のプータロー。年金の督促にくる社保庁の職員(原日出子)や小学校の南先生(村井美樹)らに「ナンセンス」「国民やめちゃお」など過激派の用語を使いまくり、小学生の息子、二郎(田辺修斗)の悩みのたね。しっかりものの母さくら(天海祐希)が喫茶店を経営して暮らしはなりたっているけど、さくらも元過激派だ。

 二郎が仲間をいじめる中学生に大怪我をさせたのがきっかけに、一家は西表島に引っ越すことになる。荒地を開墾して農作業する一郎の働きぶりに、二郎はびっくり。尊敬の念を覚える。だが、東京の開発業者がやってきて、一家を追い出そうとする。



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 【感想】

 原作を読んだことはあるけど、そのダイジェストしかすぎず薄味になっている。基本的に原作に忠実なのだけど、原作では前半の二郎の学校をめぐる青春物語と後半の沖縄に引っ越した家族の奮闘振りが程よくミックスされているが、映画は単に同じ割合で割り振ったため、双方とも中途半端に終わった。もっと原作から離れてもよかったかもしれない。さらに原作のエピソードをあれこれ詰め込みすぎて、一つひとつが散漫に。森田監督の前作の間宮兄弟がうまくエピソードを絞ってちりばめていたのに、今回はうまくいっていない。

 例えば、生き別れになっていた祖母(加藤治子)とのエピソードは、原作では金持ちの甘えた生活のいやらしさと、それにあこがれる二郎、妹の桃子(松本利梨)との対比が書き込まれていたが、映画ではとってつけたような話にしかならない。社保庁の職員との対決もそう。あまりにもあっさり終わって痛快感がないのである。逆に原作では気にならなかった沖縄のエコ万歳みたいなところが鼻についてしまった。環境破壊に反対するのはいいけど、そもそも不法占拠なわけだし。

 それから、二郎の同級生や沖縄の人々の、素人を使ったような棒読みの連続にも失笑。リアルな雰囲気を出すために、素人を起用するというのはアリだと思う。それが成功したのが「ユナイテッド93」で管制官の雰囲気は本職しか出せないと、映画初出演の管制官や軍人が本人役でぞろぞろでてきた。けれでも、本作の場合、棒読みのひどさがいちいち見ているこちらを素に戻してしまうのである。そのわりには小学生が妙に観念的なセリフをいうなどするから、あきれてしまう。

 トヨエツ、天海をはじめ上原一家は本当の家族のように見え、楽しそう。元過激派という設定も、あまりいやらしさを感じさせず。わがままだけど、やりたい放題信じるままにできる父ちゃんなら楽しいだろうな、と思わせるのはさすがトヨエツ。二郎、桃子、それに姉の洋子(北川景子)も両親にしっくりとなじみました。コメディリリーフである稲垣巡査(松山ケンイチ)もいい味を出してました。それだけに、脚本(森田監督自身が書いている)のグダグダが残念。ラストは賛否あるみたいだけど、僕はお気に入り。

 森田監督、行定勲監督など、自分のやりたいことを好き勝手に撮るのは監督の特権だけど、全国規模で大々的に公開するのはどうなのかなあ。映画をたまにしか見ない人が見に来て、「やっぱり邦画はつまらない」と誤解されたら残念。大林宣彦監督のように小規模公開で信者向け相手だったらいいんだけど。採点は4.
posted by 映画好きパパ at 20:39 | Comment(2) | 2007年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして。

このドラマ、見ました!

あまり覚えてませんが、松山ケンイチの巡査はいい感じでしたね。
Posted by 師子乃 at 2021年04月25日 00:59
コメントありがとうございます。
今となれば沖縄でのんびり暮らせるなんてすばらしい生活ですよね
またそういう日が決ましょうに
Posted by 映画好きパパ at 2021年04月25日 09:05
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