作品情報 2021年日本映画 監督:石井裕也 出演:池松壮亮、チェ・ヒソ、オダギリジョー 上映時間:128分 評価★★★(五段階) 観賞場所:テアトル新宿 2021年劇場鑑賞125本
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【ストーリー】
妻を亡くした青木剛(池松壮亮)は、幼い息子の学(佐藤凌)を連れて、ソウルで事業をしている兄の透(オダギリジョー)のところに身を寄せる。ところが自分を呼び寄せるときの調子の良い話とは裏腹に、透のやることはいい加減なことばかり。一発逆転を狙って海辺の町江陵へ向かう。
その電車の中で、売れない歌手のチェ・ソル(チェ・ヒソ)と兄のジョンウ(キム・ミンジェ)、妹のボム(キム・イェウン)と知り合う。ソルも芸能事務所を首になりきょうだいも生活に苦しんでおり、人生に行き詰まっている2つの家族は、なぜか一緒に旅をすることになるのだが…
【感想】
日韓の文化の違いというか、韓国人が荒っぽくて喜怒哀楽をすぐ表に出すのに、言葉が通じない剛は最初とまどいます。でも、ソルたちと知り合ううちに、片言の英語もまじえて何とか意思を伝えようとして、そういう気持ちがあれば、案外、理解しあえるものだというのがわかります。
特に両家とも底辺の貧しい家族で、なすことやることうまくない。こういった社会にはじきだされた底辺の家族をオフビートに描くのは石井監督の得意のテーマで、日韓交流というプラスアルファのテーマが加わったも、そつなくこなしています。貧しくて、せこいことはするけど人情というものを信じているというのが、石井監督ならではの作風ですね。
ただ、日韓状態の悪化についての部分が、全体的なストーリーのなかからちょっと浮いていたような気がしました。全体的にだらだらするのが石井作品の特徴でもあるので、こういう部分を削って、サクッと2時間程度にコンパクトにまとめてもよかったかも。もっとも、現状を映し出そうとすれば、こういう描写もしかたがないのかもしれませんけど。池松の異邦人的な状況というのは面白かったです。
オダギリジョーはまさに彼にしかできないようないい加減な役で、キム・ギドク映画にもでているだけで、韓国語をつかう役柄もあっています。天使役は出オチで、ある俳優に似ているなと思ったら、まさかの本人でした。韓国側は「金子文子と朴烈」のチェ・ヒソが純粋な韓国人の役をやっているのが新鮮。あと韓国の庶民的、家庭的な料理がおいしそうで、見終わった後韓国料理を食べたくなるのも印象的でした。
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