2021年07月20日

ライトハウス

 孤島で働く灯台守2人が、閉鎖された空間で次第におかしくなっていくサスペンス。全編モノクロで、いかにもの雰囲気はありますが、分かりやすいホラーではないので好悪はわかれるかも。

 作品情報 2019年アメリカ映画 監督:ロバート・エガース 出演:ウィレム・デフォー、ボー・バーナム、ロバート・パティンソン 上映時間:109分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2021年劇場鑑賞129本



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 【ストーリー】
 1890年代、孤島に2人だけで4週間働くことになった灯台守のトーマス・ウェイク(ウィレム・デフォー)とイーフレイム・ウィンズロー(ロバート・パティンソン)。初対面の2人だがベテランのトーマスはイーフレイムをこき使い、そのくせ肝心の灯りの作業をやらせてくれず、イーフレイムのストレスはたまるばかり。一方、トーマスは前任者が狂って死んだという不吉なことを言いだし…

 【感想】
 前作「ウィッチ」でも、閉ざされた環境で次第におかしくなっていく人たちを描いたロバート・エガース監督ですが、分かりやすいラストが提示された前作と違い、本作はとにかくもやもや感が募ります。イーフレイムは信頼できない語り手でもありますし、何が実際に起きたことで、何が妄想なのか観客も独特の世界に入っていくことになります。

 プロメテウスなどギリシア神話をモチーフにしているという評論もありましたが、僕は「ウィッチ」同様、ラブクラフト的な世界を感じました。魔女狩りで有名な町セーラムの話
も出ましたし、触手とかグロテスクな人魚とか、何より灯りがラブクラフト世界にぴったりです。

 とにかく2人しかいないわけですから、もう少し協調性をもってもよいのでしょうが、2人とも粗野で本能むき出し。しかも上司のトーマスは、ブラック企業顔負けにイーフレイムをこき使うし、指示は矛盾していて、これは現代にも通じるところがあるかとも思いました。それが、孤島という独特の環境でさらにエスカレートしていく描写は、見ているこちらもイライラ感が募っていきます。

 「トワイライト」のイケメン、ロバート・パティンソンがこんなむさいおっさん役をやるのはちょっと意外でしたが、何より、ひげもじゃで不潔感丸出しのウィレム・デフォーが、とにかくこんなレッドネックには近づきたくないと思わせる迫力ぶり。マチズモへの嫌悪は、この前に見た「プロミシング・ヤング・ウーマン」とまったく違う方向感ながらでているのは、今のアメリカの風潮何でしょう。

 モノクロの上、スクリーンの両サイドを切り取った正方形に近い特徴ある画角、予告編でも流れる灯台の機械音などの効果音、そして、海やカモメといった自然ですら敵意むき出しになる映像は、何とも不安になってしまいました。もし、自分がこんな閉ざされた空間で働くようになったら、やはり無事ではいられないよう。
posted by 映画好きパパ at 06:19 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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