2021年08月10日

アウシュヴィッツレポート

 復讐者たちに続いてのユダヤ人虐殺問題をテーマにした作品。残虐な場面なども含めて抑制したタッチで描かれていますが、映画的な衝撃は薄かったかな。

 作品情報 2020年スロヴァキア、 チェコ、ドイツ、ポーランド映画 監督:ペテル・べブヤク 出演:ノエル・ツツォル、ペテル・オンドレイチカ、ジョン・ハナー 上映時間:94分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2021年劇場鑑賞149本



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 【ストーリー】
 1944年、アウシュビッツ収容所に入れられていたスロバキア系ユダヤ人のアルフレート(エル・ツツォル)とヴァルター(ペテル・オンドレイチカ)は、悲惨な実態を外部に知らせようと、収容所での出来事を細かに記録。脱出不可能といわれていたアウシュビッツから脱出する。

 命がけで国境を越え、赤十字にアウシュビッツのレポートを手渡そうとするのだが…

 【感想】
 収容所でユダヤ人たちがいかに残酷な行為を受けていたかは、これまで数々の作品で取り上げられています。本作もドイツ兵が虫けらのようにユダヤ人を殺害する様子が、淡々と描かれているがゆえに、荒廃した日常が真に迫って見えます。ドイツ兵も感覚が麻痺したようであり、人間性がなくなる怖さもわかります。

アルフレートもヴァルターも名もなき庶民にすぎません。しかし、彼らの命がけの行動が多くのユダヤ人の命を救ったわけですから、真の勇気とは何かを教えてくれる作品です。あれだけ残虐行為が続いて計画が失敗したら大変なことになるだろうに、仲間の囚人たちも含めて、人間の真価がわかります。

 一方、彼らを助ける収容所の囚人や庶民がいる一方、赤十字の代表(ジョン・ハナー)が虐殺をなかなか信じないというのも、今の世界にも通じる残酷なできごと。赤十字の視察団が暗殺されたことすら信じようとしません。地位のある人が見たくないからと言って真実から目を背けることがどうなるのか考えさせられます。エンディングロールでトランプはじめ、多くの排外的な政治家の演説を流しているのが、ユダヤ人虐殺が歴史上のできごとでなく、今なお同じようなことが起きても不思議でないことを表しています。

 ただ、ある程度知識がないとわからないところもあり、例えば国境を越えて逃げた先はどこだったのか。チェコスロバキア?ハンガリー?枢軸国だったはずなのに、赤十字は活動できたのかとか。あと、すごいしょうもないことだけどトイレはどうしたのだろうと思いました。ドイツ軍は軍用犬で追跡しているのにそれがわからなかったのかとか。
posted by 映画好きパパ at 06:04 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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