2021年08月13日

サイコ・ゴアマン

 幼稚園か小学校のころに東京12チャンネルの昼の映画で見た1950年代、60年代のC級特撮映画を彷彿とさせる作品。わずか8歳にして悪魔を上回る極悪非道、サイコパスで鬼畜な映画史上最狂のヒロインの爆誕です。

 作品情報 2020年カナダ映画 監督:スティーヴン・コスタンスキ 出演:ニタ=ジョゼ・ハンナ、オーウェン・マイア、マシュー・ニネーバー 上映時間:95分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:シネマート新宿 2021年劇場鑑賞152本



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 【ストーリー】
 太古の昔、銀河で暴虐の限りを尽くした名前のない悪魔(マシュー・ニネーバー)は、惑星連合軍につかまり、辺境の惑星で封印された。現代、カナダの8歳の少女ミミ(ニタ=ジョゼ・ハンナ)は、クレイジーボールで打ち負かした10歳の兄ルーク(オーウェン・マイア)を埋めるため、自宅の裏庭を2人で掘っていたところ、謎の赤い宝石を拾う。実はそれは悪魔を封印するもので、封印を解かれた悪魔が復活し、地球を滅ぼそうとする。

 だが、悪魔は赤い宝石の持ち主に逆らえない。そのことを知ったミミは悪魔に「サイコ・ゴアマン」(PG)と名づけ、こき使い始めた。一方、悪魔の復活をしった惑星連合軍は最強の戦士パンドラ(クリスティン・マッカローチ)を地球に送り込むのだが…

 【感想】
惑星連合の本部なんか、段ボールで作っているのではないかという安っぽさ。PGをはじめとする怪人たちも70年代の安っぽい子供向け特撮番組にでてきそうな造形です。スティーヴン・コスタンスキは日本の特撮オタクで、女性怪人の吹き替えに、夫が特撮関係者である黒澤あすかを起用。他の宇宙人が英語をしゃべっているのに、彼女だけ日本語というシュールな場面となっています。

 ただ、それだけでは予算がたりないC級作品が作ったぱっちもんと記憶の彼方に飛んで行ったでしょう。本作の最大の魅力はミミちゃんのぶれないまでの悪役ぶり。それも悪意があるわけでなく、子供の自分勝手なわがままを最大限増幅されたという形なのが魅力です。PGが目からレーザーを出して人間を木っ端みじんにしたりゾンビ化しても平然としていて、自分のやりたいことをひたすらやる。常識人のルークがPGを怖がるのに、ボールをぶつけたり、バンドを組んだりやりたいほうだいです。

 父親のグレッグ(アダム・ブルックス)は怠け者で超いい加減、いざとなったら妻のスーザン(アレクシス・カーラ・ハンシー)の後ろに隠れる小心ぶり。一方のスーザンもミミやグレッグにあきれ果てています。そして、これまでミミに虐待されてきたルークにも同情するけれど、底のところは家族愛でしっかりつながっているのがわかる演出も良い。ミミの成長はないけれど、家族愛の良さは堪能できます。

 人間も宇宙怪人も問題だらけのなか、脚本も暴走していきます。カナダでは大人気のスポーツ「クレイジーボール」の無茶ぶりも含めて、笑いっぱなしでした。人体が木っ端みじんなど残虐描写はありますけど、特撮が安っぽいのでこれも笑えて見られる感じ。とにかくめちゃくちゃなパワーで話が展開していくので、好き嫌いは分かれるでしょうけど、夏休みにふさわしい怪作でした。
posted by 映画好きパパ at 06:45 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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