2021年08月19日

太陽の子

 第二次大戦中、京都大も原爆を開発しようとしていたという秘話の映画化。今夏はユダヤ人虐殺の映画が何本も上映されるのに、日本の戦争映画は少ないと思っていたのでこういう作品があって良かった。ただ、ちょっと抑制されすぎていた気も。

 作品情報 2021年日本、アメリカ映画 監督:黒崎博 出演:柳楽優弥、有村架純、三浦春馬 上映時間:113分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマズ座間 2021年劇場鑑賞159本 



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 【ストーリー】
 昭和20年京都大学物理学教室では荒勝教授(國村隼)の指導の下、原爆の開発が進められていた。若き物理学者の石村修(柳楽優弥)もその一人だった。郊外で母のフミ(田中裕子)と暮らす修の家に、幼馴染の朝倉世津(有村架純)が病気の祖父(山本晋也)とともに疎開してくる。そこへ出征中だった弟の裕之(三浦春馬)も肺の療養のため、田舎に帰ってくる。3人は久々の再会を喜ぶ。

 一方、物資も電力もなにかも足りない日本で、原爆研究はなかなか進まなかった。修たちはそもそも原爆を開発することの意味を見失い、激しい議論を戦わせることになる。

 【感想】
 NHKドラマの映画化ですが、ドラマは未見。ただ、映画っぽさよりもNHKドラマをそのままスクリーンにかけたと納得できそうな雰囲気でした。また、三浦春馬の新作をみられるのはこれが最後であり、それが命の尊さを訴える反戦をテーマにした作品だったということはなかなか感慨深い。

 修や世津のパートと、大学でのパートに大きく二分されます。京都は空襲を受けていなかったこともあり、大学生たちも戦地と比べると緊迫感が薄い中、同世代が出征しているのに自分たちだけ研究していていいのかや、大量の犠牲者を出す兵器の開発の意味などについて、熱く議論を語り、時には喧嘩にもなります。柳楽をはじめとする葉山奨之、奥野瑛太ら若手科学者に扮した俳優たちの熱演は見ものです。

 一方、石村家のパートも今は穏やかですが、裕之は戦地に戻らなければならない。戦争末期の危機的な状況ではそれは死に直結するわけです。そのことをわかっている3人の関係は表面上穏やかでも、緊張感が走っているもの。戦時下の若者の友情、淡い恋心をうまく映し出していました。

 終盤、アメリカが原爆を落としてからの修の変貌ぶりはみもの。母親の強い愛と責任、そして、おにぎり一個でそれを伝える演出と柳楽のうまさは光りました。原爆をテーマに、若者たちのさまざまな思いが伝わってくる秀作でした。柳楽が訪れる陶工役のイッセー尾形もよい。ただ、あまりにもできすぎ、うますぎて、時代の結果をしっている僕からすると予定調和のように思えたのは、ちょっと違和感を覚えました。
posted by 映画好きパパ at 06:05 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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