作品情報 2021年日本映画 監督:戸田彬弘 出演:高橋雄祐、土村芳、津田寛治 上映時間:51分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:新宿シネマカリテ 2021年劇場鑑賞171本
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【ストーリー】
売れない映画監督の藤井(高橋雄祐)はプロデューサーの奥田(津田寛治)から、きれいごとばかり描いていて心に届かないと言われて、悶々とした日々を過ごしている。さらに元カノで女優の寧々(土村芳)から結婚すると伝えられ、彼女への消化できない思いがくすぶっていく…
【感想】
私小説の映画版というか、戸田監督の私生活がどんなものかわからないけれど、インディーズの映画業界を描いていることもあり、まるで藤井が分身のように感じました。恐らく売れない若手映画監督の日常って、制作会社に出社したり、ワークショップにでたりで、夜になると熱く演技論を語ったりとかいう感じなんでしょう。
あまり大勢の人と会うのが苦手な藤井は、ワークショップの若い女優、雪菜(桃果)の恋愛相談にのることで、付き合ってきた寧々とのことを振り返りながら、ああすれば良かったということを頭の中の映像としてとっていきます。映画監督ならではの特権なんでしょうね。大したことはないけれど、変わらないはずの日常。失われて初めて貴重なものだったとわかるというのは普通の人にもあてはまることかもしれません。
ただ、非常に抑制されて大きな事件が起こるわけでもないので長編だったら間延びしてしまったかもしれません。実際、他人のウェットな思いを観察しているだけなようで、何ともいえない気持ちになってきました。悪くはないのだけど、あまりにリアルすぎてこういう体験があるかないかで評価が分かれそう。僕の場合、今一つ藤井にも寧々にも感情移入ができず、はたから見ている感覚が否めませんでした。
劇中にも登場している「雨のパレード」の楽曲とメンバーの使い方はうまいと思いました。また、ホームページでかなりの脇役までキャストを紹介しており、インディーズ映画ならではの手作り感も伝わってきます。見終わった後心優しい感じになる小品でした。今は酒を飲んで演技論を熱く語るはできなくなっちゃったから、コロナ前の生活を懐かしく思えます。
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