作品情報 2020年日本映画 監督:沖田修一 出演:上白石萌歌、細田佳央太、豊川悦司 上映時間:138分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:テアトル新宿 2021年劇場鑑賞174本
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【ストーリー】
高校で水泳部に所属している美波(上白石萌歌)は、はまっているアニメ「魔法左官少女バッファローKOTEKO」がきっかけで、書道部の門司(細田佳央太)と仲良くなる。書家である門司の実家を訪れたところ、見慣れたお札をみつけた。
実は美波が幼いころ両親(豊川悦司、斉藤由貴)は離婚し、今は母親と再婚相手の義父(古舘寛治)と暮らしている。義父との仲は良いのだが、本当の父・友充の記憶はなく、その手がかりがお札だったのだ。そして、門司の兄で自称探偵の明大(千葉雄大)の協力で、友充が新興宗教の教祖で、海辺の小さな町にいることがわかる。夏休み、今の両親に内緒でこっそり会いに行こうと決めた美波だったが…
【感想】
KOTEKOのアニメから物語が始まり、上白石萌歌と古舘寛治が曲に合わせて変な振り付けで踊っているところから、一気にひきつけられました。今の家族に不満はないけれど、本当の父親にもあってみたいという揺れる少女の心。また、アニメと水泳だけで恋もしたことがない彼女が、これまたうぶで童貞であろう門司との距離を縮めて行く様子は観ていてほほえましい。
とことん続く長回しや変な間、発言の最後に「なっ」という言葉を付けるなど、芝居を見せられているのではなく、隣で美波の様子をリアルでみているような演出は本当に巧い。水泳や海水浴のシーンでの水中カメラといった技術もそうだし、ぎこちがないゆえに変な勘違いをしてしまう会話など沖田監督の巧さをみせつけられます。あまりに巧いので逆にひいてしまうほどでした。
KOTEKOのアニメも人気声優をずらりと並べた本格的な作品になっており、こりゃ美波や門司といったアニメオタクが惚れこむというのも分かります。こうした細部まで丁寧な仕上がりはすごかった。
上白石、細田、千葉といった若手の演技も青春ストレートにみられて愛おしく、うれしかったのだけど、豊川、古舘の2人のおっさん俳優の父親ぶりも何ともほほえましい。男っていくつになっても娘に弱いところがあるよなと思わされます。斉藤由貴の抜けたようでしっかりしている母親にちゃんと手綱を握られていることがよくわかる。門司の祖父役の品川徹もこの世界にうまくはまっており、ベテラン勢が楽しそうにしているのをみるとこちらも癒されました。
恋愛と本当の父親探しをはじめとする家族の物語がきっちりバランスとれているのもいい。水泳部の活動もほのぼの応援したくなるし、青春映画としての構成はすごすぎるほど完璧でした。少なめのBGMも効果的だし、やはり、海やプールが全面に出ている作品は夏の映画館で観られるといいですよね。
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