作品情報 2020年フランス映画 監督:フランソワ・オゾン 出演:フェリックス・ルフェーヴル、バンジャマン・ヴォワザン、フィリッピーヌ・ヴェルジュ 上映時間:101分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2021年劇場鑑賞189本
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【ストーリー】
フランスの港町。16歳の少年アレックス(フェリックス・ルフェーヴル)は1人でヨットに乗っていたところ転覆。通りがかった18歳の少年ダヴィド(バンジャマン・ヴォワザン)に助けられる。
それをきっかけでダヴィドの母(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)が経営する釣具店でバイトすることになったアレックス。ダヴィドともすっかり仲良くなり、それは友情から愛情へと変わっていく。しかし、6週間後、ダヴィッドは事故で帰らぬ人となり…
【感想】
ゲイを公言しているオゾン監督。美少年同士のまっすぐな愛情というのは彼だから撮れたのかもしれません。とにかくフェリックス・ルフェーヴルとバンジャマン・ヴォワザンの美しいこと。女性ヒロインも美しく撮ることで知られていますが、本作の2人の美しさといったらオゾン作品の中でも群を抜いているでしょう。
ただ、思春期ということもあってか、2人とも精神がまだ未熟。愛するがゆえに傷ついていくところが何とも哀しい。年上に翻弄されつつもすがる必死さは男も女も変わりません。しかも、別れてある事件が起きた後の現代と、出会った頃の輝いている2人の様子が交互に映し出されるのだけど、その変貌ぶりがすごい。
そこに至るまで、ほとんど狂ってると思えるような登場人物たちの行動は、アレックスだけでなく母親の息子へ向ける愛も含めて、生きていくうえで本当に愛がすべてだということがわかります。ただ、ラストのオチをみると、それでも若さのタフネスぶりというか、恋愛に重きを置くフランス人らしいというかなかなか日本人の感覚からひいてしまうかも。
登場人物の行動に引いてしまう部分が多かったのですが、ロッド・スチュワートの名曲「Sailing」が非常に効果的に使われていて、今年見た映画の中でも、もっとも音楽と場面があっている作品でした。ここはラブストーリーのピュアさが伝わってくる名場面です。
ちなみに、僕の好きな作品で、「サマー・オブ・84」という少年たちがひと夏の犯罪に巻き込まれるというアメリカのサスペンス映画が2019年に日本でも公開されています。まったく関係のない作品ですがともに青春が美しく、ビターに終わるというテーマでは共通しています。映画監督が中年世代になったので、80年代の青春ってあこがれるのでしょうかね。ディスコの場面とか目がちかちかしすぎました。
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