2021年09月19日

先生、私の隣に座っていただけませんか?

 漫画と現実の信用できない語り手で不倫騒動をうまく描いているのだけど、主役2人が巧すぎてちょっと絵空事に思えました。奈緒は美人なのに相変わらずちょっと変な女の役しか回ってきませんね。

 作品情報 2021年日本映画 監督:堀江貴大  出演:黒木華、柄本佑、風吹ジュン  上映時間:119分 評価★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマ座間 2021年劇場鑑賞192本



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 【ストーリー】
 漫画家の早川佐和子(黒木華)は夫でアシスタントの俊夫(柄本佑)の協力もあり、長期連載が終わってほっとしていた。そこへ、田舎で一人暮らしをしている母の真由美(風吹ジュン)がケガをしたとの連絡が入り、夫婦は田舎に戻り介護をすることになる。

 田舎暮らしでは自動車の運転が必要なため、佐和子は免許をとりに日中は自動車教習所へいくことになった。留守番の俊夫は佐和子の描きかけのネームを見て驚く。自分と編集者の千佳(奈緒)の不倫がばれ、佐和子は教習所でイケメン教官の新谷(金子大地)に恋心を抱いているという内容だったのだ。どこまでが漫画でどこまでが現実なのか。俊夫は疑心暗鬼になり…

 【感想】
 予想通り信頼できない語り手というか、観客もどこまでが本当でどこまでが漫画の話なのか分からないようにストーリーは進んでいきます。伏線もばっちりはっているし、さらに登場人物自体が不倫を認めないなど嘘つきなので、真実は何か、二転三転しながら物語は続きます。

 映画内で現実と虚構を乗り越えるというのは「鳩の撃退法」でみたばかりですが、あちらが犯罪モノというそれ自体が絵空事をテーマにしていたのに、こちらは不倫をしているのかしていないのか、という日常がテーマになっているので、本作のほうが身近にかつサスペンス性も高かったりします。「鳩の撃退法」だと主人公がピンチになっても少なくとも終盤までは生きているという理解で見ているわけですが、本作では不倫は序盤にばれて主人公がピンチになってもおかしくないのですから。

 俊夫はかつては佐和子の師匠でありながら、最近は書けなくなって妻のアシスタントをしていると役回り。佐和子と千佳という本来は恋敵の関係が、俊夫に漫画家として復活してほしいという思いが共通するというのもひねっています。2人とも愛と仕事とどちらを重視するのか、あるいは折り合いをつけるのかといったところも見どころになるからです。

 黒木の能面のような表情は佐和子の本心がわからなくさせるまさに適役。一方、千佳の編集者なのに常識が外れたような行動も、普段変な役が多い美人の奈緒だから説得力があります。また、典型的なイケメンキャラの金子大地は、実は本作を見る直前に「サマーフィルムにのって」をみていたのですけど、やはり振り回されるイケメンがよくにあう。こうしたなか、したたかな女性陣に太刀打ちできない俊夫役に、イケメンではないけれど女にもてるのはなんとなく納得できる柄本佑という配役も見事でした。

 ただ、ストーリーを練りすぎるし、役者陣がはまりすぎているがゆえに、よくできた演劇をみているようで、生々しさを感じなかったというのも正直なところ。せっかく不倫というドロドロした情念のお話なので、もっと隙をみせた作品でも良かったようなきがしました。でも、映画としての作りは精巧なので見て損はない作品です。
posted by 映画好きパパ at 06:21 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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