2021年09月25日

スイング・ステート

 金まみれのアメリカの政治のおかしさを風刺したコメディ。エンドロールで本物の選挙管理委員長が出てきて、現実にもこうしたことがあり得ますとインタビューに答えていたのに驚きました。日本の選挙のほうがはるかにマシですね。

 作品情報 2020年アメリカ映画 監督:ジョン・スチュワート  出演:スティーヴ・カレル、クリス・クーパー、マッケンジー・デイヴィス  上映時間:102分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2021年劇場鑑賞197本



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 2016年の大統領選でクリントン陣営の参謀だったゲイリー・ジマー(スティーヴ・カレル)は民主党復活のため、ウィスコンシン州の田舎町に目をつける。そこでは退役軍人で農場を営むジャック・ヘイスティングス大佐(クリス・クーパー)が不法移民を差別しようとする町役場に立ち向かっていた。

 田舎町の白人で元軍人の農場主を民主党の町長にすれば、民主党のイメージが刷新されるとゲイリーは町に乗り込み、ジャックと娘のダイアナ(マッケンジー・デイヴィス)を説得して立候補を決意させる。ところが、その話を聞きつけたゲイリーのライバルで共和党の選挙参謀、フェイス・ブルースター(ローズ・バーン)が町に乗り込み、現職町長(ブレント・セクストン)の支援を始めた。かくして、田舎町の町長選はCNNやFOXニュースが生中継するほど全米の注目選挙となるなか、誹謗中傷が飛び交う激しい選挙戦が始まった…

 【感想】
 スイング・ステートというのは、大統領選で共和党、民主党の支持率が拮抗してどちらが勝かわからない州のこと。トランプに負けたとき、民主党はリベラルな政策をかかげ、黒人や女性の権利に重点を置きすぎたため、田舎町の白人票が逃げてスイング・ステートを軒並み落としたとされました。映画の中でも民主党の全国組織はやたらと少数民族をきにしている描写があり、パーティーのときはハラル(イスラム食)やユダヤ食などにわけられていたりして、監督も小ばかにしています。

 監督が小ばかにしているのは民主党だけでありません。ゲイリーもフェイスも嫌味な都会のエリートで、ジャックたちを田舎者と腹の底ではバカにしていること。いくら田舎の人でも、内心そんなことを思っている都会のエリートには反感をいだくわけで、ゲイリー、フェイスともに見た目はにこやかだけど冷酷で下ネタ大好きというあたり、下種な人間だと描かれています。不謹慎なゲイリーに比べて、生真面目なジャックやダイアナがいかに人間的かと、描かれていきます。

 メディアの問題点を指摘。たとえばフォックスニュースは民主党の町長に元軍人がなるなんて、国に対する裏切りだとバックでISの映像を流します。一方、CNNは多様なコメンテイターを一度に発現させようとして収拾がつかない状態に。よくテレビ局が自社をおちょくるような扱いを許したなと感心しました。ブラッド・ピットのプランBが製作しているのも大きいのかもしれません。面白ければ誤報でも平然としているのは、日本よりはるかにひどい。

 都会のエリートのあほさ加減同様に選挙戦もコミカルに描かれますが、実際も似たようなものでしょうね。最新鋭のデータ分析を使って、小さな地域ごとにチラシを変えたり、テレビCMはハリウッド映画ばりに盛大なアクションぽくしたり。僕のような外国人がみるとバカ臭いと思うけど、アメリカの観客はどう思ったのかな。

 ちなみに、ゲイリーの恋の行方もあり、爆笑しました。脚本も二転三転して想像もつかない結末に。こういうユーモアたっぷりの政治風刺作品は邦画ではなかなかないだけに楽しめました。 
posted by 映画好きパパ at 06:41 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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