2021年09月26日

レミニセンス

 ヒュー・ジャックマンが人の記憶を調べられる捜査官という予告で「インセプション」のようなSF大作を予想していたのですが、1950年ごろのハードボイルド、フィルムノワールを近未来に置き換えたような作品でした。悪くはないのだけど、SFアクションだと思うと肩透かしになります。

 作品情報 2021年アメリカ映画 監督:リサ・ジョイ  出演:ヒュー・ジャックマン、レベッカ・ファーガソン、タンディ・ニュートン  上映時間:116分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎 2021年劇場鑑賞198本

 【ストーリー】
 戦争と海面上昇で荒れ果てた近未来。水没寸前のマイアミで、ニック(ヒュー・ジャックマン)は、脳波で顧客の過去の記憶を再現できる装置を使った商売をしていた。ある日、メイ(レベッカ・ファーガソン)という女性がカギを無くしたので調べてほしいと依頼にくる。

 それをきっかけにメイに一目ぼれしたニックは、とうとう彼女と付き合いだす。だが、幸せな日々はわずかしか続かず、ある日、彼女が姿を消してしまった。助手のワッツ(タンディ・ニュートン)の心配をよそに何も手につかないニックだったが、検察の捜査に協力してギャングの記憶を探るうちに、彼女の手がかりをみつけ…

 【感想】
 戦争はともかく、海面上昇で沿岸部は大きな被害を受け、水没しかけた地域に住む庶民と、安全な陸地に住む金持ちとの確執を背景に描いています。このディストピア的な世界観でアンニュイに話は進みます。ニックもワッツも夢がなくて、ただ、現在を漫然とすごすだけ。思わず自分自身も幸せな思い出に浸れればと考えてしまいました。

 だれもが楽しかった思い出があるはず。それをリピートできれば幸せだけど過去にとらわれて未来に進むことはできません。しかし、こんなディストピアではだれもが未来よりも過去にとらわれるというのは納得です。そして、その危険をしるニックも、メイとの美しい思い出に縛られるというのは何とも皮肉でした。

 メイがまた、往年のハードボイルドにでてくるようなファム・ファタール。美しい長髪の持ち主で、酒場での歌手との運命の出会いというのは、ニックのような世を捨てた男ですら夢中にさせるのでしょう。夜のシーンが多いだけに、二人で水没した町を夜明けに見るシーンは何とも効果的です。そして、メイは悪女なのか、それとも事件に巻き込まれただけなのか。ニックの捜査を観客は追体験することになります。

 ギャング役でダニエル・ウーがでているのにはちょっと驚きましたが、金持ちは白人、ギャングのボスは東洋人、助手は黒人というのは最近のハリウッドのコードにあわせたハードボイルドっぽい設定。結末は僕好みだけどアメリカではダメだったようで、興行、批判とも壊滅的な結果におわっています。ずばぬけて良いというほどではありませんが、こういう世界観に浸れる映画って結構好きなんですけどね。 
posted by 映画好きパパ at 07:59 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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