作品情報 2021年日本映画 監督:河合勇人 出演:田中圭、中谷美紀、岸部一徳 上映時間:121分 評価★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2021年劇場鑑賞199本
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【ストーリー】
鳥類学者の相馬日和(田中圭)は奥地のフィールドワークから東京の空港に到着したところマスコミに囲まれて驚いた。なんと妻で政治家の凛子(中谷美紀)が日本初の女性総理に就任するという。
混乱する日和を内閣広報官の富士宮あやか(貫地谷しほり)が連れだし、総理の夫としての心得をレクチャーする。しかし、母親で巨大企業会長の崇子(余貴美子)、あくどいベテラン政治家の原(岸部一徳)、勤務先の鳥類研究所で日和に思わせぶりな態度をとる伊藤るい(松井愛莉)など、周囲には一癖もふた癖もある人物ばかりで、日和は困惑する。
【感想】
米国のコメディ映画「スイング・ステート」を見たばかりなので、余計に落差がきになりました。「スイング・ステート」は民主党、共和党、FOXニュースなどが実名ででてきて、扱う素材もプアホワイトや地方の格差の問題、政財界が癒着した選挙制度の問題、おかしな選挙報道を繰り返すマスコミの問題とリアルにあるアメリカの病巣ばかり。ユーモアのオブラートに包みながら、アメリカは今、何がいけなくてどうあるべきなのかを提示してきます。
一方、本作は政党名はすべて架空だし、連立与党の離脱など実際の政治状況からかけ離れています。政治課題も女性の活躍はうわべだけなぞってますが、結局夫婦愛に矮小化されてしまい、現在の日本の政治と重なる部分はほとんどありません。この差は作り手の志の差なのか、日本の観客は政治よりも夫婦愛を観たいのかどちらかわかりませんが、同時期に同じテーマを描いているのにここまで方向性が違うというのは逆に感心しました。
ただ、中谷美紀の名前の通り凛とした雰囲気は他の女優に出せない雰囲気。美しさとしたたかさを兼ね備えた女性政治家を演じられるのは彼女をおいてほかにいません。また、予告編であるような、自宅に帰ろうとして警官に泊められた日和が「僕は総理の夫です」と怒るシーンなど小ネタはクスリとしました。
田中圭をはじめとして有名どころの役者は、それぞれ見たような形の役割にとどまっているので、肩の凝らない娯楽として見る分には良いのかもしれません。ラストに関してはまったくあわず、なんかちゃぶ台返しのようでがっかりしましたけど、これも見る人によっては感動の夫婦愛となるんだろうなあ。
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