2021年09月29日

テーラー 人生の仕立て屋

 ギリシアで業績不振に悩む仕立て屋が、ウェディングドレス作りに挑んだことから仕事と恋と活躍する物語。ただ、ヨーロッパ映画らしいというか、人の考えは複雑で一筋縄ではいかず、あれっという感じでした。

 作品情報 2020年ギリシャ、ドイツ、ベルギー映画 監督:ソニア・リザ・ケンターマン  出演:ディミトリス・イメロス、タミラ・クリエヴァ、タナシス・パパヨルギウ  上映時間:101分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2021年劇場鑑賞201本



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 【ストーリー】
 アテネで高級仕立て屋を父親(タナシス・パパヨルギウ)と営むニコス(ディミトリス・イメロス)だが、不況の影響もあり客足は途絶えて銀行への借金返済に苦しむ毎日。しかも 父が病気で倒れてしまった。

 仕方なく、屋台で市場に出て服を売ろうとするが、なかなか売れない。そこへ婦人服やウェディングドレスの注文が舞い込んだ仲良しの隣家の少女ビクトリア(ダフネ・ミチョプールー)と彼女の母、オルガ(タミラ・クリエヴァ)の協力で服は売れだした。しかし、作業に協力してもらっているうちに、オルガに恋心を抱くようになり…

 【感想】
 ちょっとビターな人間ドラマ。どこの世界もお金がないと苦しいですが、とりわけ高級紳士服は値段がはるし、カジュアルウェアが浸透したうえ、この映画の後ですけどコロナでテレワークが普及したため大変とか。大資本ならともかく、いくら腕に自信があっても町の仕立て屋ではグローバル経済にはあらがえないでしょう。

 職人かたぎの厳しい父親を助けるためか、中年になっても仕事一筋で独身のニコス。父が倒れたことで、自分の新しい道を見つけることができました。一つはウエディングドレスをはじめとする婦人服。これまた日本だと少子高齢化で結婚式数は減っているけどギリシャではニーズがまだたかいのか、ビクトリアたちも移民であることが示唆されてますし、人口は増えているのでしょう。仕立服一筋の父親は、最初は嫌な顔をしましたけど背に腹はかえられません。ニコスも女性たちの喜ぶ顔にまんざらでもない感じ。

 もう一つはオルガへの恋です。仕事を一緒にするうちに友情が恋愛に変わるというのはよくあります。オルガの夫(スタシス・スタムラカトス)はタクシー運転手の仕事が忙しく、なかなかかまってくれなかったというのもあるかもしれません。面白いのがビクトリアで、最初はニコスと仲良しだったのに、ニコスがオルガと仲良くなると、次第に敵意むき出しに。幼い少女でも、こういう男女の機微には敏感なんだと感心しました。ここらへんは女性監督ならではの心理描写でしょうか。

 糸のほつれを直すように、さまざまなトラブルが起きてくるけど、不器用でまじめに対応するニコラ。それが必ずしも幸せな結果に結びつくとは限りませんが、人生ってそんなもの。何度倒れても、起き上がるほうが重要だというふうに思わされました。主演2人はギリシャでは有名な俳優だそうですが、ハリウッド的な美男美女でないのが、またリアル感を感じさせられます。セリフやBGMが少ないのもまたヨーロッパ映画的で、ちょっとたるさも感じるかも。
 
posted by 映画好きパパ at 06:16 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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