2021年10月03日

空白

 吉田恵輔監督作品は人間の嫌な部分をゴリゴリ見せてくるのですが、本作は大半の登場人物が嫌な奴で、見ていて非常に疲れました。俳優たちは熱演でした。

 作品情報 2021年日本映画 監督:吉田恵輔  出演:古田新太、松坂桃李、寺島しのぶ  上映時間:107分 評価★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2021年劇場鑑賞206本 



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 【ストーリー】
 スーパーの店長、青柳直人(松坂桃李)に万引きを咎められた中学生、添田花音(伊東蒼)が逃げ出す途中、車にはねられて死んでしまう。花音の父親で離婚後1人で育ててきた充(古田新太)は娘が万引きしたとは信じられず、青柳が死なせたと激怒する。

 連日のクレームにマスコミは面白おかしく騒ぎ立てる。元妻の翔子(田畑智子)は、充に自分の娘のことをわかっていたのかと問いただす。一方、スーパーの店員、草加部麻子(寺島しのぶ)は正義感から、充に逆に抗議して…

 【感想】
 青柳、充、花音、草加部と主要登場人物はだれもまともにコミュニケーションしようとしないため観ていてイライラします。短期で口だけでなく手もでる充を花音は恐れて、親子のコミュニケーションは断絶しています。そして怒りのあまり周りが見えなくなる充、元ニートで暗い顔で言い返さない青柳、逆に自分の考えていることはすべて正義と考える草加部と、コミュニケーションは一方通行ばかり。よくもこれだけ揃えたものです。

 さらに、イラつくのは面白がって真実をねじまげて報道するマスコミです。ただ、こうしたマスコミの描写って、観ていてむかつくのだけどあまりにも類型的で今更こんな描写をされても、単に観客の不快感を増すだけにしか思えませんでした。いっそのこと、「発狂する唇」みたいに、片っ端からマスコミを殺していくようなスカッとする描写でもみせてくれればよかったのに。

 吉田監督作品はむき出しの暴力も魅力的なのに、本作は事故の場面は確かにリアルでさすがの演出だったけど、それ以外は精神の暴力がメインというのも今一つ入り込めませんでした。ただ、人間の嫌な部分を見せる手腕はさすがで、それぞれタイプが違うのにはたから絶対話が通じないと思わせるのは、古田、松坂、寺島らの演技もあり見ごたえがあり。

 一方、ちょっとした救いもないわけではないのですけど、それも小ぢんまり自己完結したようにみえてしまいます。まあ、現実世界で救いなんてそうそうあるわけではないから、リアルといえばリアルなんだけど、そう考えると逆に救いがある人のできごとというのも、とってつけたように見えてしまうのですよね。このへんは完全に感覚的なものですが。

 古田はがたいといい顔つきといい、怒らせたら何をするかわからないというのにぴったり。松坂は「孤狼の血 LEVEL2」と全く違い、本当にダメな人間になりきり、相変わらずの縁起の引き出しの多さをみせてくれました。また、主要登場人物の中で唯一まともな役に、古田の漁師の後輩役の藤原季節がおいしいところを持ってきました。俳優たちはよかったけど、やはり全体的に自分にはあわなかったかな。
posted by 映画好きパパ at 22:04 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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