作品情報 2020年イギリス映画 監督:ドミニク・クック 出演:ベネディクト・カンバーバッチ、メラーブ・ニニッゼ、レイチェル・ブロズナハン 上映時間:112分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎 2021年劇場鑑賞207本
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【ストーリー】
米ソ冷戦真っ最中の1962年、ソビエトGRU(軍情報部)のオレグ・ペンコフスキー大佐(メラーブ・ニニッゼ)は核戦争阻止のため、ソビエト軍の機密を西側に渡そうと計画する。CIAとM16の共同作戦となり、使者に選ばれたのは東欧で商売をしている平凡なビジネスマン、グレヴィル・ウィン(ベネディクト・カンバーバッチ)だった。
CIAのヘレン(レイチェル・ブロズナハン)に半ば脅され、しぶしぶ役目を引き受けたグレヴィルだが、何度も機密書類の運び屋として接触するうちに次第にペンコフスキーと友情を結んでいく。一方、グレヴィルの妻シーラ(ジェシー・バックリー)は、たびたび夫の様子がおかしいと不審に思うのだが…
【感想】
スパイとはまったく無縁のビジネスマンが、図らずも情報戦に巻き込まれてしまう物語。事実がベースだというのだから、まさに小説より奇なりです。口八丁手八丁のセールスマンが、命がけでスパイに協力し、プレッシャーに押しつぶされそうになりつつもペンコフスキーとの友情を育んでいく。ドミニク・クックの演出は淡々としつつも、ボリショイバレエ団の観劇シーンなどをいれて飽きさせることはありません。
信念のために西側に機密を流すペンコフスキー。ビジネス上の付き合いを装ううちに、次第に家族ぐるみの仲に発展していきます。ペンコフスキーの幼い娘やグレヴィルの息子がいったいどんな目に会うのかとドキドキしてしまいます。夫の浮気を疑うシーラの描写も、みていて、いつ家族の破綻が起きるのかと不安になってしまいました。
007のような派手な銃撃戦は皆無ですが、それでも捕まったら死刑になるだけに、どうやって監視の目をかいくぐるのか緊張感は高まる一方。幸せそうな家族の描写がよけいにサスペンスを高めます。ちなみにペンコフスキー事件のことは知っていましたが、グレヴィルのことは知りませんでした。よくできた歴史サスペンスって、結末をしっていてもハラハラさせるものです。
ベネディクト・カンバーバッチとメラーブ・ニニッゼの緊張感にあふれつつ、私生活の多面性を見せる演技も良かったのですが、冷酷そうにみえてもグレヴィルのことを心配するヘレン役のレイチェル・ブロズナハンがおいしいところ。当時のソ連の風景やファッション、ヘアスタイルも見ごたえがあり、大人の秀作です。
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