作品情報 2020年韓国映画 監督:イ・ファンギョン 出演:チョン・ウ、オ・ダルス、キム・ヒウォン 上映時間:130分 評価★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2021年劇場鑑賞212本
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【ストーリー】
1985年、軍事政権下の韓国に野党の大物政治家イ・ウィシク(オ・ダルス)が大統領選出馬のために緊急帰国する。国家安全政策部の手によって自宅軟禁されたウィシクは外部との接触も厳しく監視される。
上司と喧嘩して釜山に左遷されていた敏腕エージェントのデグォン(チョン・ウ)は、安全政策部トップのキム室長(キム・ヒウォン)から呼び戻され、ウィシクの隣家に設けられた盗聴チームのチーム長を命じられる。ウィシクを失脚させようと盗聴を始めたデグォンだが、優しく家族思いで国を思うウィシクが悪人と思えなくなる。さらに、偶然、屋根の上で鉢合わせしてしまい…
【感想】
時代的に金大中と経歴は似ていますが、完全なフィクション。ドイツのヒューマン映画「善き人のためのソナタ」の韓国版かと期待していたら、序盤、釜山で大便まみれのトイレに潜んで、学生運動の摘発を図るというシーンから、この映画はギャグベースなのかなと思わされます。
さらにデグォンの盗聴チームの部下2人もへっぽこばかり。ウィシクの美人の娘(イ・ユビ)に舞い上がってしまったり、ろくにしごともせずに酒と焼肉ばかりしていたり。前半は結構笑わせてくれました。盗聴するほうとされるほうが、ドタバタしながら隣人同士のお付き合いを深めていくというのは人情っぽくていい。腹を壊して一緒にトイレに入る仲になるというのも、大便とかのネタが好きな韓国映画ぽい。
そして中盤から物語はいっきにシリアスになり、はらはらどきどきのサスペンスも入ってきます。前半でギャグをしていた分、シリアスになったときのショックが大きいというのは、韓国映画でよくあるパターン。チョン・ウの出世作「レッドファミリー」なんかもそうですが、僕から見ると、無理に泣かせようとしているとしか思えませんで、結局はまりませんでした。その無理やりのシーンがなければ良かったのになあ。オチはなかなか見事でしたけど。
ベテラン脇役のオ・ダルスは大統領というより、庶民派のおっちゃんという感じ。まあ、軍事政権に対抗する野党だから、親しみやすい俳優を起用したのでしょう。家族や友人との暖かい交流にはうってつけで、軍事政権の非情さと落差があります。しかし、韓国民主化をめぐる作品は名作が多いので、余計、ギャグ多めの変化球になってしまって、好みがわかれそうな作品です。
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