作品情報 2021年日本映画 監督:成田洋一 出演:中川翼、長澤樹、柳葉敏郎 上映時間:104分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:アップリンク吉祥寺 2021年劇場鑑賞214本
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【ストーリー】
秋田県の田舎町。両親が離婚して東京から父良太(駿河太郎)の故郷に戻ってきた中2の中島彰(中川翼)は内向的な性格で友達もできない。過疎の町で人口は減り、中学校の閉校は決まり、担任の奈良(生駒里奈)もやる気がなかった。
ある日、近所の家の屋根の上に少女(長澤樹)が立っているのをみて絵が得意な彰は思わずスケッチしてしまう。その少女、岡本真希は不登校を続けており、クラスメイトから切れると何をするかわからないと陰口を言われていた。一方、叔父の佐藤(柳葉敏郎)の家に遊びに来た真希は田んぼにミステリーサークルを見つける。そのころ、彰は空に緑の光を見つけ…
【感想】
まったく存在もしらない話でしたが、ツイッターで空翔ぶギロチンさんが勧めているのをみて見に行ったら当たりでした。まず、中川、長澤やクラスメイトが中学生の時撮影しており、等身大の中学生の青春を演じているというのがいい。彼らの悩みや喜び、年相応にしか出ない表情をしっかりと描いています。
過疎の町で学校は閉校になり、友達はどんどん街を出ていきます。そんななか、閉校祭に向けてクラスは動き出し、絵の得意な彰は転校生なのに協力することになります。一方、真希は
地元出身なのに、完全にハブられている。といって、ありがちないじめの描写があるわけでもなく、非常にリアルな中学生生活を感じました。特にちょっときつい感じの委員長の村上(中島セナ)がいいアクセントになっています。
彰は母親に捨てられ、真希も両親との間はうまくいっておらず、友達もいません。そんな孤独な2人が徐々に触れ合い、恋愛ではなくて人と人との本当の友情みたいな関係を結んでいく様子はみていて心地よい。一面に広がる田んぼなど田園風景に癒される一方、そこでも人間が逃げずに生きていかなければならず、大人になりかけている中学生たちにとって大変だけど、懸命に生きる様子が伝わってきました。
ミステリーサークルや緑の光は秋田県で実際にあった出来事だそう。ただ、SFにいくのではなく、日常に起きたちょっとした不可解な出来事が、中学生にとっては大きな役割を果たすというのもいい。秋田出身の柳葉をはじめ秋田弁は聞き取りづらい部分もあったけど、それもまた魅力です。
さらに奈良が東京の大学から戻ってきて過疎の町でういている自分に悩むシーンもあり、大人といえども人生は簡単にいかないということを表しています。それは離婚してミュージシャンの夢をあきらめた良太もそうですし、田んぼを手放すことになった佐藤もそうです。このへんの描写も落ち着いていて、しんみりきます。初メガホンの成田監督はCM界ではベテランだけあり、故郷の秋田への思いをしっかり映像に残しています。上映館が少なく客入りがいまいちなのはちょっともったいなかった。
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