2021年10月15日

トムボーイ

「燃ゆる女の肖像」のセリーヌ・シアマ監督が2011年に撮った作品。セクシュアリティって何だろうといろいろ考えてしまいました。

 作品情報 2011年フランス映画 監督:セリーヌ・シアマ  出演:ゾエ・エラン、マロン・レヴァナ、ジャンヌ・ディソン  上映時間:82分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:新宿シネマカリテ 2021年劇場鑑賞217本



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 【ストーリー】
 夏休み、家族と共に団地に引っ越した10歳の少女ロール(ゾエ・エラン)。ボーイッシュな服装の彼女は、広場で遊んでいる地元の子供たちに、自分はミカエルという男の子だと名乗る。

 彼女をすっかり男の子と信じて友達付き合いをする子供たち。そのなかでも少女リザ(ジャンヌ・ディソン)はミカエルに対して恋心を抱くのだが…

 【感想】
 トムボーイとはボーイッシュという意味。ロールが男のふりをしたのはできごころなのか、女らしさを押し付けられるのが嫌なのか、それとも性同一性障害なのかわかりません。けれども、年上から年下まで男女問わずまじった子供たちの集団でも、すんなり受け入れられるのが不思議な気がしました。マロン・レヴァナ

 鬼ごっこはしてもサッカーはしない女の子たち。そのなかでもミカエルとしてプレイをするうちに、熱くなったのかTシャツをぬいで上半身裸になります。また、幼い妹ジャンヌ(マロン・レヴァナ)をいじめる男の子には喧嘩をしかけていきます。その様子はやんちゃな男の子として疑いようもありません。

 しかし、みんなと立ち小便できないとか、泳ぎに行く約束をしたりとか、男装がばれそうになってみていてハラハラするできごともいくつもあります。そして、リザが寄せてくる異性としての好意に気付くロール。彼女がそこまでして男装を続けた理由は何なのか、明確な説明はありません。でも、まだ10歳でアイデンティティが確立しきれてないのでしょう。サッカーや喧嘩に明け暮れる姿は、同じ年ごろなのに「スクールガールズ」の少女たちに比べてずいぶん幼くみえました。

 一方、家族がそれぞれロールへの向き合い方が違うのもリアル。みんな彼女のことが好きですが、ジャンヌは彼女の男装がいたずらっぽく面白がっています。このおませな演技がキュートでたまりません。父親(マチュー・ドゥミ)は彼女に甘いので、もし彼女が男性になりたいといっても許してくれそう。一方、母親(ソフィー・カッターニ)は妊娠中ということもあり、自分の規範に彼女を押し付けようとします。でも、それは彼女を愛しているからゆえでもあり、思春期で一時期気まずくなっても、最終的にはうまくやっていきそう。

 女性監督ということもあり、ロールもミカエルも美少女、美少年に撮れています。感情の機微を紡いだ思春期の日常を描いた作品を連続でみて、思わず懐かしく、切ない気分になってしまいました。
posted by 映画好きパパ at 06:07 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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