作品情報 2011年フランス、デンマーク映画アニメ 監督:レミ・シャイエ 声の 出演:サロメ・ブルヴァン、アレクサンドラ・ラミー、アレクシ・トマッシャン 上映時間:82分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:バルト9 2021年劇場鑑賞218本
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【ストーリー】
19世紀後半、何カ月もかけて移住のため西部の荒野を行くキャラバンに12歳の少女、マーサ・ジェーン(声・サロメ・ブルヴァン)がいた。旅の途中で母親を亡くし、父(ダミアン・ウィテカ)を支えながら、幼い弟と妹の面倒をみていた勝気な少女だ。
だが、旅の途中、父が大けがをしてしまう。スカートをズボンにはきかえ、馬を操ろうとする彼女に、キャラバンの大人たちは眉をしかめる。ピューマに襲われたところを、たまたま通りかかった騎兵隊のサムソン少尉(アレクシ・トマッシャン)に助けられたマーサは、彼に馬の乗り方を教わり、父親に代わって一家をリードしようとするのだが…
【感想】
カラミティ(疫病神)・ジェーンは実在の人物で、女性ガンマンながら話を盛りすぎたとして毀誉褒貶が激しい人物です。これまで数多くの西部劇に登場しました。本作は彼女を借りながらも、男尊女卑が激しい時代に、一人の人間として成長しようとする彼女の活躍をユーモア交じりで描いています。
ズボンを履くだけで怒られた時代。けがをした父親に自分が活躍しているのを見せようとしたマーサが、ズボンを履いているだけで怒られるシーンは何とも哀しい。それでも、懸命に生きようとするマーサ。キャラバン隊長(ヨヘン・ヘーゲレ)の息子イーサン(サンティアゴ・バルバン)ら同年代の少年たちと喧嘩をして、髪をつかまれて負けたからばっさりと切るシーンをみて、不屈の精神に応援したくなります。
中盤から、ある理由でキャラバンを抜け出し、自分ひとりで冒険しなくてはならなくなります。そのなかでも「ロング・ウェイ・ノース」同様、短いカットをつないでテンポよく編集したり、意地悪な大人たちをぎゃふんといわせたり。気が強くて、時には泣きそうになるけど、決して運命に流されない彼女と、彼女を応援する仲間たちはみていて気持ちがいい。
また、ジェーンのキャラデザインが眉が太く丸顔で、決して美少女でないところもいい。キャラバンには美少女もいますが、男の子にもてはやされるのが女の幸せでなく、自分で自分の人生を決めることが人間としての幸せだ。美少女というアイコンを使わなかったのは作りてのそんな決意も伝わってきそう。
冒険はさまざまな苦難がやってきますが、実在の人物の少女時代なので、最後には何とかなると気楽にみられます。そして、その苦難をどう切り抜けるのかワクワク。西部の大自然の風景やグリズリー、ガラガラヘビといった脅威も画風にマッチしており、雄大な気分にも浸れること間違いなし。テーマ曲もいかにもアメリカ西部劇の伝説という感じでウキウキしました。子供から大人まで楽しめる名品です。
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