2021年10月16日

草の響き

 佐藤泰志原作の底辺で生きる人たちを描いたシリーズの一環。院隠滅滅したストーリーを淡々と描いていて、寝落ちと戦っていました。奈緒は相変わらず不幸か変な役しか回ってこないなあ。

 作品情報 2021年日本映画 監督:斎藤久志 出演:東出昌大、奈緒、大東駿介  上映時間:116分 評価★★★(五段階) 観賞場所:シネマジャック&ベティ 2021年劇場鑑賞219本



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 【ストーリー】
 東京の企業で心身を壊し、妻の純子(奈緒)とともに故郷の函館に戻ってきた和雄(東出昌大)。主治医(室井滋)の勧めもあり、もくもくとジョギングを続けていた。慣れない土地で夫ともうまくかみ合わない純子は不安を募らせていく。

 和雄はランニング中に、地元の高校生彰(Kaya)と知り合う。彰も札幌から転校して、函館になじめないなか、同世代で不登校の弘斗(林裕太)、弘斗の姉、恵美(三根有葵)とスケートボードが縁でつるむようになる。やがて和雄と彰は競うようにジョギングをするようになるのだが…

 【感想】
 健全な精神は健全な肉体にやどるというのは世迷言だと思ってます。本作も運動療法で始めたジョギングが、和雄の治療に役だったのかははなはだ疑問。けれども、肉体の限界まで体を動かすことでわからない疲労感は次第に幸福のように錯覚させるし、いつまでも同じところにとどまれないということも表しているのでしょう。汗だくで走るフォームも決まっています。

 けれども、寄り添ってくれる妻とのコミュニケーションも不全のうちにひたすら走る様子は逃げるようにしか見えず、東出の悲壮な表情とあわせて近寄りがたいものを感じてしまいます。走ることは孤独だけど、寄り添うことも孤独。奈緒の不安そうな様子が夫婦の不穏な動きを表していて怖い。奈緒のアップがスクリーンに映るのは眼福。

 一方、彰も閉鎖的な土地柄に浮いてしまっています。本人は口下手であり、弘斗や恵美との関係もいわゆる青春映画に出てくるような甘ったるいものとは違いますが、孤独の中でも触れ合える人がいることの重要さに見ているこちらも噛みしめられます。それだけに終盤の3人の行動はいろいろ考えさせられました。

 ただ、いかんせんダウナーな気分が延々と続くものだから、集中力がとぎれとぎれになってしまいました。ジョギングやスケートボードシーンを長回しでたくさんとっており、函館の映画らしさは満喫できたのですが、最近の佐藤原作作品って「オーバーフェンス」「君の鳥はうたえる」ともに僕の趣向に合わないですよね。いかにも邦画で小規模な映画祭で賞を取りそうな生真面目な映画でした。
posted by 映画好きパパ at 19:52 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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