2021年10月20日

ディナー・イン・アメリカ

 社会で生きずらい若い2人が家族団らんというアメリカ的価値観の建前に中指を突き立てるシニカルな青春映画。登場人物が皆いらっとさせてくるなか、線路から外れた人が息苦しいのはどの国でも一緒だと思ってしまいました。

 作品情報 2020年アメリカ映画 監督:アダム・レーマイヤー 出演:カイル・ガルナー、エミリー・スケッグズ、グリフィン・グラック  上映時間:106分 評価★★★(五段階) 観賞場所:新宿武蔵野館 2021年劇場鑑賞223本


 【ストーリー】
 アメリカの田舎町。パンクロッカーのサイモン(カイル・ガルナー)は、レコーディング費用のバイトで治験をうけて体がめためたになる。同じ治験を受けたベス(ハンナ・マークス)と意気投合し、彼女の家に招かれるが、欲求不満だったべスの母親ベティ(リー・トンプソン)から誘惑されたうえ、見つかったら性犯罪者扱いされてしまう。怒ったサイモンは家に火をつけて逃走する。

 警察に追われたサイモンは、偶然短大時代の同級生パティ(エミリー・スケッグズ)に助けられる。彼女は小太りでどんくさいことから周囲からいじめにあっていた。そんなパティの家にかくまわれることになったのだが、実はパティは覆面シンガー、ジョンQの熱狂的なファン。ジョンQとサイモンが同一人物だということも知らずに…



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 【ストーリー】
 アメリカの田舎町。パンクロッカーのサイモン(カイル・ガルナー)は、レコーディング費用のバイトで治験をうけて体がめためたになる。同じ治験を受けたベス(ハンナ・マークス)と意気投合し、彼女の家に招かれるが、欲求不満だったべスの母親ベティ(リー・トンプソン)から誘惑されたうえ、見つかったら性犯罪者扱いされてしまう。怒ったサイモンは家に火をつけて逃走する。

 警察に追われたサイモンは、偶然短大時代の同級生パティ(エミリー・スケッグズ)に助けられる。彼女は小太りでどんくさいことから周囲からいじめにあっていた。そんなパティの家にかくまわれることになったのだが、実はパティは覆面シンガー、ジョンQの熱狂的なファン。ジョンQとサイモンが同一人物だということも知らずに…

 【感想】
 アメリカは家庭第一、家族での晩餐が何よりも大事という価値観があります。しかし、ここででてくるベスとサイモンの家のディナーはそれぞれ最悪。ベス家では家族に無視されているベティが腕によりをかけたご馳走を作っても、結局はごみ扱い。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のリー・トンプソンが演じているのも味わい深い。

 サイモン家も同様で、おそらく郊外のそれなりに良い暮らしの家庭で、パンクや麻薬にはまっている犯罪者の息子というのはもてあましているのだろうけど、こんなうわべだけの家庭で育ったらぐれるはな、とも思わされました。パティの家庭はまだましなほうだけど、それでも家族が思いやりを持って気楽に過ごせるという状態からはほど遠い。多くの家庭の実情はこんなもんだよといっているようです。

 さらに、短気で場当たり主義的なサイモンと、どんくさいパティはスクールカーストの上位にいるような連中どころか、黒人のおっさんにもバカにされます。ポリコレ全盛のなか、黒人のおっさんのほうが貧乏白人より優位になっているというのは、いかにもパンクな感じ。携帯電話がないことから舞台は1990年代でしょうが、それにしても攻めている設定です。

 世間から落ちこぼれた2人だけど、サイモンは攻撃的でだれにでもかみつく。パティはサイモンによって気弱さをカバーできるという良いコンビ。今まで2人を下にみていた連中に仕返し(といっても大したことはしませんが)するのは、これまた反逆のパンク精神がパティに浸透したようでほほえましい。

 ただ、下ネタや吐しゃ物、排泄といった下品さは、すいません、苦手なんですよね。そういう悪趣味なところまで突き詰めていくのが人生の真理なのかもしれませんが、僕自身は勘弁してほしいという描写もありました。まあ、露悪的な方法でないと、僕も含めて乙に済ましたような連中への打撃にはならないのでしょう。ラストのオチも含めて、ブラックでシニカル、でも権威に反逆しようという精神は伝わりました。
posted by 映画好きパパ at 06:04 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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