2021年10月21日

サウンド・オブ・メタル

難聴に陥ったメタルバンドのドラマーを主人公に描いた人間ドラマ。アマゾンプライムで配信され、アカデミー賞の音響賞などを見事に受賞しています。

 作品情報 2019年アメリカ映画 監督:ダリウス・マーダー 出演:リズ・アーメッド、オリヴィア・クック、ポール・レイシー  上映時間:120分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ渋谷 2021年劇場鑑賞224本



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 【ストーリー】
 メタルバンドのドラマー、ルーベン(リズ・アーメッド)はライブ中に、耳が聞こえにくくなっていることを気付き、医者を受診する。聴力は25%まで落ち、しかも大音響のバンド活動を続ければ悪化する一方だという。心配する恋人のルー(オリヴィア・クック)は懸命に支えようとするが、ショックのあまり自暴自棄になるルーベン。

 知人の紹介で聴覚障害者たちの自助ホームを紹介されたルーベン。主宰のジョー(ポール・レイシー)に携帯を預けるなど厳しい規律のなか、少しずつ音のない世界に慣れていった。だが、補聴器を付けるための手術を受け、もう一度音のある世界に戻りたいと思ったルーベンは…

 【感想】
 春先にアマプラでみていますが、自宅でPC画面でみていると集中力がなく、ほとんど記憶からとんでしまいました。映画館でしっかり集中してみるとともに、迫力ある音響を楽しめ、改めて秀作だなと実感したしだいです。

 ルーベンはメタルバンドのドラマーでドラッグの経験もあるし、ルーは父親(マチュー・アマルリック)との仲がうまくいかずにメンヘラとなり、自傷行為を繰り返しています。バンドでそんな底辺の二人が支え合って暮らしていたのに、ルーベンの失聴でさぞかしショックは大きかったでしょう。

 それでも、ジョーの厳しい自立施設に入り、二人が別々になったこともあり、前向きに歩き始めます。「ノマドランド」でも思ったのですが、苦しい生活でもだれかに頼るのではなく、自立を図っていこうというのは実にアメリカ的。さらに、ルーベンもルーも根は善人です。彼がろう学校に入り、小学生の子供たちと手話を習うとともに、聞こえない世界でも振動で音楽を教える姿は、人間の優しさ、心根の良さが伝わってきてジンと来ました。

 しかし、それだけの良い話に終わらせません。子供たちに教えるという生活ができたけれど、ミュージシャンとして音のある生活に戻りたいという葛藤。ジョーは、聴覚障害はハンディでなく受け入れるものとして、補聴器を取り付ける手術は禁止しています。心が癒えたところで厳しいけど、再び、夢を取り戻そうとするルーベンの姿は、いかにもアメリカ映画らしく感じました。

 さらに、ルーとの再会も、単純なメロドラマになりません。このへん、邦画どころかアメリカ映画でも愛が勝つみたいな話に陥りがちなのに、人生の酸いも甘いもあるということを教えてくれるうまい作りになっています。

 聴覚障害者が見てもわかるよう、説明部分も字幕がついていました。映画では実際に聴覚障害者を体験できるように、サウンドが極端に聞こえにくく成ったり、字幕でも「静かな騒音」といった、僕がこれまで気付かなかったような状況を教えてくれます。また、手話もルーベンが覚えるまでは字幕が付かず、ルーベンの気持ちになったように見ることができました。ただ、障害者の大変さということだけでなく、社会で暮らすこと、さらに自分の人生にどう向き合うかなど、深いテーマを扱っています。

posted by 映画好きパパ at 06:08 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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