2021年10月25日

DUNE/デューン 砂の惑星

 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督にしか描けないような荘厳で神話の始まりのように思えるSF映画。よくぞこんな映画が作れるものだと、ただただ驚嘆するばかりです。

 作品情報 2020年アメリカ映画 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 出演:ティモシー・シャラメ、レベッカ・ファーガソン、オスカー・アイザック  上映時間:154分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ木場 2021年劇場鑑賞227本



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 【ストーリー】
 遥かなる未来。宇宙帝国の皇帝から惑星アラキスの統治を命じられたアトレイデス公爵(オスカー・アイザック)は愛人のジェシカ(レベッカ・ファーガソン)と庶子のポール(ティモシー・シャラメ)や家来たちと赴く。

 アラキスは広大な砂漠に覆われているが、貴重な香料がとれて莫大な収入になる。前領主のハルコンネン男爵(ステラン・スカルスガルド)は先住民フレメンを虐待しつつ、金と権力をほしいままにしていた。皇帝は貴族に人気のあるアトレイデスと権力者のハルコンネンをぶつけ合って壊滅させようと陰謀を企んでいたのだ。一方、母ジェシカから「ボイス」という声で相手の意思を奪う超能力を教わるポールだが、うまくいかない。そこへハルコンネンの軍勢が攻め込んできて…

 【感想】
 フランク・ハーバートの原作は未読ですが、スターウォーズから風の谷のナウシカまで多くのSF映画に影響を与えた壮大なストーリー。映画化は困難といわれ、アレハンドロ・ホドロフスキーは断念、1984年のデヴィッド・リンチ版は不評で、本人も失敗作といっているそうです。本作は父を陰謀で殺された少年が、原住民とともに立ち上がり復讐するという壮大な英雄物語の序章に過ぎず、ぜひとも続編をみてみたいものです。

 まず、ドゥニ監督独特の美意識が作り出すアラキスをはじめとする宇宙のセットが素晴らしい。砂は黄金のようにきらめく一方、地中には数十メートルの巨大なサンドワームによる詩の世界。孤立した環境にあるアトレイデスの城や香料の採掘工場などなど、想像力とSFXと資金がなければ、これだけ豪勢なものはできません。独自のファッションセンスも見事です。原作はイスラムの影響も含めて独特の神話を作っているそうですが、巧みに映像化できました。

 ストーリー的には古代からある英雄物語なのですが、ジェシカをはじめとする修道院の関係者の陰謀が、皇帝、ハルコンネンら男たちの野望とともに非常に濃い世界を作り出します。そして、そのなかでも知性と高潔さにあふれるアトレイデスをオスカー・アイザックが好演。彼の腹心の部下で、ポールの剣の師匠でもあるダンカン(ジェイソン・モモア)の男らしさ、ジェシカの憂いを帯びた美しさ、そして主人公ポールのカリスマといったキャラクターたちに魅了されます。悪役のハルコンネンも特殊メイクで異形の姿になったステラン・スカルスガルドが憎しげに演じており、やはりSF大作はこうでなければ。

 戦闘シーンもよくできていますが、それよりも絶望的に強いサンドワームの恐怖、独自の風習を持つフレメンとの戦いといったあまり他の映画でみないような独特のアクションがたまりません。そして、ドゥニ監督お得意の全体的に静かな構成にハンス・ジマーのBGMがぴったりとあいます。

 配役もジョシュ・ブローリン、シャーロット・ランプリング、ハビエル・バルデム、チャン・チェンと各国のスターがせいぞろい。ゼンデイヤ演じるヒロインは本作では登場場面が少なかったのですが、次回以降に期待といったところです。ただ、英雄物語なので、ものすごい感動するような内容かというとそうでもないのですよね。そこがSFアクション大作の難しいところでしょうか。
posted by 映画好きパパ at 06:06 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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