2021年10月26日

PITY/ある不幸な男

 前知識なくみましたが、ハネケ作品のようにとにかく不快にさせる作品。後で知ったけど脚本はヨルゴス・ランティモスと名コンビのエフティミス・フィリップなんですね。人間の嫌な部分が拡大されて突きつけられ、ぐったりとしました。

 作品情報 2020年ギリシャ、ポーランド映画 監督:バビス・マクリディス 出演:ヤニス・ドラコプロス、エヴィ・サウリドウ、マキス・パパディミトリウ  上映時間:99分 評価★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2021年劇場鑑賞228本



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【ストーリー】
 中年の弁護士(ヤニス・ドラコプロス)は事故で妻(エヴィ・サウリドウ)が植物状態となり、ティーンエイジャーの息子(パブロス・マクリディス)と暮らしていた。回復の見込みのない妻を熱心に見舞う彼の姿は近所でも評判だった。

 弁護士は次第に周囲から同情されることに快感を覚えるようになった。だが、妻の意識が戻り…

 【感想】
 人によって受け止め方は違うのだろうけど、僕だったら「同情するなら金をくれ」とまでいきませんが、ろくに事情を知らない人に同情されてもうっとうしいだけだと思います。けれども弁護士の男は同情されることで快感を覚えた。これは生来の性癖なのか、それとも事故で妻が入院しっぱなしとなり、家事と仕事の両立の困難さが彼の心を崩していったのかわかりません。

 序盤はいかにも法律家らしく生真面目な態度、服装をしていた男。同情されて一人で部屋にこもり泣いているときだけが自分の素直な気持ちをさらけだせたのかもしれません。息子はそろそろ反抗期だし、友人とはうわべだけの付き合いだし、頼れる人がいなかった。そういう点では同情すべきところもあります。

 ただ、そのうちに同情を無理に求めるようになっていって、もし周囲にこんな人物がいたらはなはだ迷惑。さらに、法律家として有能なだけに始末が悪い。泣いているとき以外はほぼ無表情で慇懃無礼な男の姿がえんえんと続き、見ていてどんどんフラストレーションがたまりました。そして、終盤の怒涛の展開。この男が特殊なのは確かですが、人間にとってちやほやされたいという欲求は多いわけですし、人の嫌なところをみせつけられるのはなかなかえぐい。

 妻や秘書が妙に美人なのはまだ救い。どことも分からない海辺の町の風景もきれいです。クラシックを多用しつつヘビメタを交えるBGMも悪くない。それなのに、男のえぐさが出てくるにつれ、陰鬱な気分にさせられます。まあ、オチは笑いましたけど。そもそも、何語をしゃべっているのかわからず(ギリシャ語?)こともあり、不条理な世界に突然放り出されたような感覚。ランティモス作品のファンならば、うまくはまる作品なんでしょうし、レベルは高いと思うのだけど本当に疲れる作品でした。 
posted by 映画好きパパ at 05:50 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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