作品情報 2020年日本映画 監督:原田真人 出演:岡田准一、鈴木亮平、柴咲コウ 上映時間:148分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:横浜ムービル 2021年劇場鑑賞230本
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【ストーリー】
幕末、武州の田舎で侍にあこがれていたバラガキ(悪ガキ)土方歳三(岡田准一)は、盟友の近藤勇(鈴木亮平)、沖田総司(山田涼介)らとともに京の都に上る。会津藩預かりとなり市中警護の新選組を結成した土方は、新選組初代局長の芹沢鴨(伊藤英明)一派らを粛清し、攘夷派浪人を片端から血祭りにあげ、恐れられる。
一方、土方は江戸からやってきた女絵師の雪(柴咲コウ)と知り合い、傷の手当をうけたことからいつしか愛し合うようになる。だが、風雲急を告げ…
【感想】
新選組は内部の粛清を繰り返し、外部の攘夷派浪人も片端から血祭りにあげるなど、とにかく陰惨な印象です。本作も芹沢粛清や池田屋事件など血なまぐさいシーンはたくさんあるし、土方のやっていることは悪辣なのですが、岡田の風貌と鈴木の上機嫌な時は徹底的に盛り上げる明るさもあり不思議と陰気くささはありません。
なにより、アクション俳優としても実績がる岡田が土方を演じたことで、殺陣がかなり見ごたえがあります。池田屋の有名な階段落ちはオミットされていますが、池田屋事件だけでなく浪士との切り合いや鳥羽伏見の戦い、五稜郭の戦いなど邦画の本格時代劇として十分堪能できました。
また、脇役の配役もうまくいっており、徳川慶喜役の山田裕貴は秀才ながら胆力がないと評された慶喜になりきっていて、出番は少ないながら強烈な印象を残します。大河の草なぎ剛演じる分別のついた慶喜よりも、本作の方がいわゆる「慶喜らしさ」にあふれている気がします。また、山崎蒸役の村本大輔、藤堂平助役の金田哲らお笑いタレントを何人も起用していますが、これがシリアスな役にずばりと的中。加えて、時代劇にかかせない歌舞伎俳優も松平容保役の尾上右近、孝明天皇役の坂東巳之助と物語に重みを加えます。
原田監督らしいドライで、セリフも早口でききとりずらい演出は健在なので、新選組の歴史はある程度しっておいたほうがよいでしょう。150分近くあっても、武州の田舎のころから函館の最後までを描き切るには時間が短く、テンポが良い反面、説明セリフでもったいないところもありました。しかし、史劇としては関ケ原より本作のほうが濃密に楽しめます。
それだけに雪とのシーンが、テンポをそいでいてもったいない。土方の人間らしさを出したいだろうし、観客からしても男の血なまぐさいシーンだけではあきるでしょうけど、例えば池田屋事件のあと、雪が土方を心配して夜の京都をさまようとかを入れるんだったら、桂小五郎と幾松のエピソードをいれたほうが個人的にはよかった。それでも、重厚な時代劇として十分楽しめましたが。
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