作品情報 2021年韓国映画 監督:イ・ジョンホ 出演:イ・ソンミン、ユ・ジェミョン、チョン・ヘジン 上映時間:130分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2021年劇場鑑賞233本
ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村
【ストーリー】
仁川で女子高生がバラバラの遺体で発見された。仁川警察殺人課第1班の班長ハンス(イ・ソンミン)と第2班班長ミンテ(ユ・ジェミョン)は、かつては相棒だったが、事件解決のために違法行為も辞さないハンスにミンテは反発。今は険悪な仲になっていた。
上層部から事件を解決したほうが次期課長になるといわれた2人は犯人逮捕に躍起になる。そんななか、ハンスは元情報屋で刑務所から出所したばかりの女売人チュンベ(チョン・ヘジン)に呼び出される。なんとチュンベはハンスの銃を奪って、自分を密告した男を射殺。驚くハンスにバラバラ殺人の犯人を教えるから、この殺人に目をつぶれというのだ。自分の銃が犯行に使われたことがばれたら処分の対象になることもあり、ハンスはチュンベと取り引きするのだが…
【感想】
冒頭、2人の男がチンピラを拉致し、浜辺に埋め立て用とするシーンから始まります。これが犯罪シーンの幕開けかと思いきや、なんとハンスの捜査の一環。事件解決のためには違法行為を平然とするのは、「孤狼の血」の大上刑事もびっくりです。また、ミンテの捜査は正攻法のために行き詰まっていました。ライバルを蹴落として昇進するためにも、ハンスは悪魔のささやきに耳を傾けてしまいます。
しかし、ケチな傷害を見逃すならまだしも殺人を見逃すのは正義の番人としては明らかに道を踏み外しています。チュンベから得た情報は重要な手がかりになり、ミンテを蹴落とすつもりでいましたが、一方で、殺人を隠ぺいしたことがばれたら自分がお縄になってしまう。この焦燥感がいかにも人間らしい。
さらに、バラバラ殺人犯はサイコパスな連続猟奇殺人犯でした。ハンスは自分の犯罪の隠ぺい、ミンテとの競争に勝ちつつ、サイコパスと戦わなければならないと四面楚歌の状態においやられます。このへんがいかにも韓国映画らしいてんこ盛りで、オリジナルのフランス映画では連続猟奇殺人でなく武装強盗団の事件解決でした。これが猟奇殺人になることで被害がさらに拡大する懸念もあり、緊張の度合いを高めていきます。果たして結末は、となると最後の最後まで韓国映画らしい、重苦しいビターな雰囲気に浸されてしまうので、見終わったあと疲れました。
イ・ソンミン、ユ・ジェミョンというおっさん2人が苦虫を噛み潰したような表情で捜査をするのが何とも渋い。イケメンスターがでない大人の作品というテイストが何ともたまりません。また、「テロ・ライブ」の正義の女刑事といった役柄が印象的なチョン・ヘジンが、裏社会の落ちぶれた不細工な犯罪者になりきっているのも見所でした。いやいや、こういう濃厚なサスペンスを作らせたら韓国映画はやはりすごいですね。
【2021年に見た映画の最新記事】