2021年11月06日

最後の決闘裁判

 欧米では有名な史実を、被害者女性の視点も含めた羅生門的作品。長時間ですが監督がリドリー・スコットということもあり、最後まで緊張感をもって観られました。

 作品情報 2021年アメリカ映画 監督:リドリー・スコット 出演:マット・デイモン、アダム・ドライヴァー、ジョディ・カマー  上映時間:153分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2021年劇場鑑賞242本



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 【ストーリー】
 14世紀のフランス。ノルマンディー地方の騎士、ジャン・ド・カルージュ(マット・デイモン)の妻、マルガリット(ジョディ・カマー)は、夫の留守中に、夫の友人だった従騎士ジャック・ル・グリ(アダム・ドライヴァー)にレイプされたと訴える。

 証人はおらず、マルガリットの証言のみ。ジャックは無罪を主張する。そこで、ジャンとジャックが決闘し、勝った方の言い分を認めるという決闘裁判が開かれることになる。

 【感想】
 欧米では当たり前かもしれませんが、基礎知識がないとなかなか難しい。まず、決闘裁判というのは、真実を言っている方は神の加護があるから、決闘で勝利したほうが正しいという中世の裁判法。映画では特に説明されていませんが、フランスで行われた最後の決闘裁判を描いたのが本作です。

 騎士と従騎士ですが、従騎士が出世して騎士になります。しかし、ジャンとジャックの場合、戦争での勇猛さが認められ、国王のシャルル6世(アレックス・ロウザー)から、騎士に任じられたものの、粗暴で戦うことしか頭にありませんでした。一方、ジャックは政治力にもたけており、ノルマンディーの領主、ピエール伯爵(ベン・アフレック)の信頼も厚く、城塞の司令官に任じられるなど金も地位もありました。2人ともピエールの配下なだけに、かつては親友同士ですが仲がこじれてしまったわけです。

 映画は3つの章にわかれ、告発者のジャンの視点、容疑者のジャックの視点、被害者のマルガリットの視点になります。ジャンの単純極まりない考え方が、知恵があり政治力もあるジャックからみるとどう見えるのか、さらに、男尊女卑の時代にマルガリットが2人の男からどういう仕打ちを受けたのかがわかるしだいです。

 昨今のMetooを受けているせいですが、先進的な思想をもっているはずのジャックも女性は情欲のはけ口としかみていません。さらに、マルガリットの敵は彼だけではありません。ジャンが命がけで決闘に臨むのは、彼女のことを思ってからではなくて、騎士としての名誉を傷つけられてから。女性の親戚や親友からも、マルガリットの告発はおかしく、被害をみすごすようにといわれます。さらに、裁判もひどくて、裁判官たちはセカンドレイプ的な発言を平然としており、みているこちらが気分が悪くなるほどでした。

 しかし、聡明で勇気をもったマルガリットは告発をあきらめませんでした。ジョディ・カマーの凛とした美しさが胸を打ちます。ここまであからさまでなくても、今でもひどい目にあっている女性や弱者からみれば、彼女の勇気は救いになるのでは。

 また、リドリー・スコットらしい、残酷シーンも含めた決闘や戦場のシーンもうまくとれています。中世の夜は明るくなく、外は土と泥まみれといった雰囲気がすばらしい。長時間のため、客入りはよくないですが、これこそ大画面の映画館でみるべき作品だといえます。
posted by 映画好きパパ at 20:11 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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