作品情報 2021年日本映画 監督:前田哲 出演:永野芽郁、田中圭、市村正親 上映時間:137分 評価★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2021年劇場鑑賞243本
ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください

にほんブログ村
【ストーリー】
泣き虫の小学生、みいたん(稲垣来泉)は、父親の水戸(大森南朋)がブラジルでコーヒー農園を開くといってブラジルにいってしまい、血のつながらない継母の梨花(石原さとみ)と暮らしている。貧しい暮らしをしていたが、梨花はみいたんのピアノを弾きたいという願いをかなえるため、大金持ちの老人、泉ケ原(市村正親)と再婚する。
女子高生の優子(永野芽郁)は、母親が出て行ってしまい血のつながらない父親の森宮(田中圭)に育てられた。いつも心のこもらないままへらへらしていたため、クラスでも浮いていたが、同級生の早瀬(岡田健史)のピアノに感動。ピアノを通じて彼と急速に接近する。
【感想】
みいたんのエピソードと優子のエピソードが交互で語られますが、よほど鈍くない限り、この2つのエピソードがやがて結びつくというのがわかるでしょう。実はつながってました…と感動させようという作り手側の意図が丸見えなのですが、まあ、そのくらいはよしとしましょう。
ひっかかったのは、どこかでみたようなシチュエーション、場面や説明調のオンパレードなのです。例えば、森宮は優子のところ来た早瀬から「お父さん」と呼ばれ、「君にお父さんと呼ばれる筋合いはない」という、昭和かよというセリフを繰り返します。また、担任教師は面談のせきで「これだから普通じゃない家庭の子は…」と露骨に差別するような発言をつぶやきます。こういうのって、わざわざセリフで知らせる意味ってどこにあるのでしょうか。それから経済的に大変なアイコンとして、パンの耳をもらってフレンチトーストにする場面とか、もうちょっと貧困の工夫ができないのかと思ってしまいました。さらに、意地悪なクラスメイト役にせっかく萩原みのりを起用しているのに唐突に改心して、その後はほとんど絡まない。何とももったいない。
また、離れ離れに暮らしていた親子の再会シーンがあるのですが、長年会っておらず、子供は成長しているにもかかわらず、一発でわかるんですよね。これまた、どこかでみたようなセリフ、シチュエーション。そもそも、一番感動させようというエピソードにしたって、いや、本人の思いはともかく、周りに迷惑をかけているのだし、その周りがみな聖人君子のように納得するというのはいくら何でもフィクションだろう、と突っ込みたくなりました。基本的に主人公周りの人は、記号的な善人しかいなくて、薄いのですよねえ。もっとも、映画館ではすすり泣きも聞こえましたので、すれた見方をするのでなく、感動したほうが勝ちといえるでしょう。
永野の女子高生役は久々ですが、複雑な家庭に育ち、周囲に溶け込めないながらも、ちょっとぶっきらぼうなイケメンと急接近するという、テンプレになりがちなキャラクターを等身大に演じて、優子を魅力的なキャラクターに仕上げていました。子役の稲垣も売れっ子だけあって、役柄上いらっとさせるのも含めて、観客の感情移入がしやすくなっています。ただ、それ以外は若手、ベテラン含めて、記号通りの演技をしているようで、あまり印象がない。豪華キャストなのにちょっともったいなかったです。
【2021年に見た映画の最新記事】