作品情報 2020年フィンランド、スウェーデン映画 監督:ザイダ・バリルート 出演:アルマ・ポウスティ、クリスタ・コソネン、シャンティ・ローニー 上映時間:103分 評価★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2021年劇場鑑賞245本
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【ストーリー】
1944年、売れない画家のトーベ・ヤンソン(アルマ・ポウスティ)は、著名な彫刻家の父ヴィクトル(ロベルト・エンケル)に厳しくあたられる。空襲で窓が壊れた部屋をアトリエとして一人住まいを始めた彼女は、パーティーで知り合った議員アトス(シャンティ・ローニー)と不倫関係に陥る。
戦後、舞台演出家でヘルシンキ市長の娘であるヴィヴィカ(クリスタ・コソネン)と出会ったトーベは、彼女とも不倫関係となる。同時に男と女と不倫をするトーベだが、その体験は作品を豊かなものにした。特にアトスのアドバイスで落書き程度だったムーミンを本にまとめたのは大きかった。しかし、ヴィヴィカがパリに移ることになり、トーベも誘いを受けたのだが…
【感想】
北欧らしい、全体的に暗い光量のフィルムで、しかも男女同時不倫と今でも世間からは攻撃されそうだし、まして、同性愛が法的に禁じられていた当時ならなおさらスキャンダルになりそうな恋愛を描いているので、恋愛映画によくある高揚感はなく、陰鬱な感じにさせられます。
冒頭、予告編でみられるようにトーベが激しく体を振ってダンスをしているシーンから始まりますが、彼女は愛情にのめり込む芸術家だったことが伝わり、内に秘める愛が熱情的だということを教えてくれます。そんな彼女がムーミンのような癒しの作品を描くのは不思議な気もしますが、実は僕がしっているムーミンは日本のアニメオリジナルの部分がかなりあり、トーベも不快感を持っていたといいます。
それだけに日本のムーミンファンからすれば、想定外な気持ちになるかもしれません。父をライバル視した確執とその結末や、アトス、ヴィヴィカらの関係がどうなるかなど、個々のエピソードは興味深いものの、一気に何年もとんじゃったりするから、あれ?っと思わせるのも事実。
それでも芸術家として生きるプレッシャーと、男女それぞれへの深い愛をもった人物というのはなかなかいません。それだけによく103分という短時間で描けたなという気持ちと、もうちょっと長くしてもじっくりみたかったという気持ちの両方を感じました。静かな恋愛映画好きな人向けの作品です。
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