作品情報 2021年日本映画 監督:和島香太郎 出演:加賀まりこ、塚地武雅、渡辺いっけい 上映時間:77分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズグランベリーパーク 2021年劇場鑑賞259本
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【ストーリー】
郊外の住宅地に引っ越してきた里村茂(渡辺いっけい)は、隣家から伸びた梅の枝が通行の邪魔になっていることに驚く。妻の英子(森口瑤子)に隣家へ文句を言いに行くように命じる。そこは山田珠子(加賀まりこ)が50歳になる自閉症の息子、忠男(塚地武雅)とひっそりと暮らしており、忠男が梅を切ると暴れるため、そのままにしてあったのだ。
自閉症の隣人が、小学生の息子・草太(斎藤汰鷹)に悪影響を与えないか、茂は不安になる。一方、英子は自分がこの世からいなくなった後、忠男が一人で生きられないだろうと、彼をグループホームに入居させようとする。しかし、近所の人の目は冷たく…
【感想】
加賀まりこの54年ぶりの主演作だそうで、彼女の子供にはやさしいけど、芯は強い姿にみているこちらの胸もすっとします。塚地の自閉症演技がリアルなだけに、余計に母の愛情と、自立させなければという思いの板挟みが伝わってきます。また、占い師として子供を育てながらきちんと稼いでいるのも立派なもの。これは加賀の当たり役。
隣人となった里村家ですが、表立って悪口はいわないものの、自閉症の忠男の突然の行動に不安は隠せません。その中で、まだ偏見の少ない草太が忠男の優しい気持ちを見抜き、年の離れた友人になっていくというのも心地よい。転校したてで友人もいなかった草太にとり、忠男との出会いは大人になっても忘れられないでしょう。
けれども、隣人で草太をきっかけに山田家と交流するようになった里村家と違い、近所の人たちは自閉症の人たちに偏見をもっています。ただ、偏見を持つ人が悪いのでなく、実際、小さな子供が驚かされたらそれは親として怒るだろうと、みているこっちも思ってしまいます。映画だからきれいごとでみられるけど、いざ自分の隣人が自閉症の人だったら草太のように偏見なくつきあえるかどうか自信がありません。
草太の行動で山田家に迷惑がかかることがあるというのも、これまたリアル。実際、自分の子供が他人に迷惑をかけたら親としてどうすればいいのか、それまでは権威主義で威張ってるだけに見えた茂が、徐々に変わっていく姿をみながら自問自答しました。
忠男への珠子の思いと、草太への両親の思い。それぞれ見ていて心が温まります。また、障害者の就労施設長(林家正蔵)のような、世間の偏見からどうやって障害者を守ろうかという姿も考えさせられます。決して答えがあるわけではないけれど、自分の身に置き換えながらずっと観ていました。
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