2021年11月21日

カオスウォーキング

 思ったことがダダ漏れてしまう世界での冒険という独特の世界観を楽しませてくれるSF映画。ただ、伏線が放置されるなどもったいないところもありました。原作は3部作だそうですが、アメリカで不入りだったため続編は難しいかな。

 作品情報 2021年アメリカ映画 監督:ダグ・リーマン 出演:トム・ホランド、デイジー・リドリー、マッツ・ミケルセン  上映時間:109分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ新宿 2021年劇場鑑賞262本





 【ストーリー】
 23世紀、人類が植民したニューワールドという惑星は、男性が考えていることが他人に筒抜けになる「ノイズ」という現象が発生。現地人との戦争もあり、わずかな生き残りが散り散りになって集落を作っていた。少年トッド(トム・ホランド)のいる村は、女性が原住民によって全員殺害されてしまった。ほかに生き残りの集落があることを知らないトッドは、自分がこの星で一番若いと信じ込んでいた。

 ところが、ある日、地球から宇宙船が来たが、事故のため生き残ったのはヴァイオラ(デイジー・リドリー)という若い女性だけだった。初めてみる女性にトッドは動揺する。村の首長のデヴィッド(マッツ・ミケルセン)に報告し、ヴァイオラは捕らえられる。だが、デヴィッドに殺されかけたヴァイオラは脱走。トッドは彼女を助けて、別の生き残りのいる集落を目指すことになる。

 【感想】
 思ったことが体から靄のようになって相手に伝わる「ノイズ」。言葉が漏れたり、映像が漏れたりとなかなか大変なようです。逆に予告編でもありますが、蛇の映像を思ってそれを相手に向けてビビらすなんて使い方も。人間、本音がダダ洩れではろくなことにならず、こんな世界、僕だったら1日も耐えられないでしょう。実際、牧師(デヴィッド・オイェロウォ)はおかしくなっていましたし。

 そんななか、デヴィッドはうまくノイズを扱え本心を隠せることもあり、首長として独裁的な権力をふるっています。村の生活は開拓時代の西部みたいなので、マッツの悪役ぶりは板についた感じ。ウマに乗り回す癖に、銃はビームガンだったり、妙なアンバランスも笑えます。

 女がいない世界に女性が現れてとまどう少年というのも面白いアイデア。ただ、このくらいの年頃だったら淡い恋心よりも性欲丸出しになるはずとおもいますが、そこはヤングアダルトSFが原作なので、露骨なことはありません。そもそも女性のない世界では、女性の裸身すらも想像できないのかもしれず、キスの妄想が伝わるのが関の山。それがヴァイオラに漏れてしまい、慌てるトッドの姿はかわいい。

 少年の冒険ものとしての骨格はしっかりしているうえに、ノイズという奇抜なアイデア、そして、ヴァイオラとの逃避行。悪くはないのだけど、冒険の途中でこれは伏線になるのではと思ったことがいくつも放置されていたのがもったいない。トッドがゲイカップルに育てられるのというのは原作通りかもしれないけど、最初はダディと呼びかけているので関係がよくわかりませんでした。

 デイジー・リドリーの健康的で活発な美しさがトム・ホランドの初々しさとよく似合います。ジュナイブルの初恋としても面白かった。
posted by 映画好きパパ at 20:35 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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