作品情報 2021年日本映画アニメ 監督:loundraw 声の出演:小林千晃、島袋美由利、川栄李奈 上映時間:40分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ渋谷 2021年劇場鑑賞264本
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【ストーリー】
夏の間、廃墟となった滑走路で花火をすると若い女性の幽霊が出るという都市伝説があり、高校生の友也(声・小林千晃)はネットで知り合った高校生同士のあおい(島袋美由利)、涼(島ア信長)とともに、真偽を確かめに現地に行った。
都市伝説通りに花火をしたがなかなか幽霊はでてこない。最後に線香花火をしたところ、なぜか全然消えず、やがて、あやね(川栄李奈)と名乗る若い女性の幽霊が現れた。あやねは、死に近づいている人にしか自分の姿は見えないという。3人の高校生はそれぞれ、人には言えない悩みがあった。
【感想】
脚本が小説家の乙一ということで、40分の中編にもかかわらず見事な伏線をひいています。終盤にそれに気付いた時には結構びっくりしました。あやねはちょっと年上の女性という感じで、自分が幽霊ということもあり、3人の高校生たちにさりげなくアドバイスするような立ち位置にいます。お別れの挨拶が「さようなら」でなく「うらめしや」というのが、妙にユーモアがあってツボに入りました。
3人ともキャラデザからすれば美男美女ですが、それぞれ、高校生らしい悩みがあります。主人公の友也の悩みは、大人から見れば大したことないように見えますが、思春期の少年にとっては重要な問題。あとの2人の悩みは、本当に幽霊でもいいから悩みを打ち明けられる相手がほしいと切実に思えます。そして、あやね自体もこの世に残した思いがあります。4人の思いが交錯するあたりをじっくりと描いており、変な恋愛描写をいれなかったのがまた切なく美しい。そして、ラストのエピソードがじんわりきます。
高校生3人の声優たちは、アニメで活躍する人気声優たちでいかにものアニメ声。実写メインの川栄の声とはあきらかに異質です。このことが、あやねが3人とは別世界の存在であるということを浮きたたせてくれていいキャスティングだと思いました。
「君の膵臓をたべたい」の挿絵などイラストレーターとして活躍するloundrawの初監督作品。キャラデザもアニメ版「君の膵臓をたべたい」のような美男美女ぞろい、なおかつ落ち着いた雰囲気の若者たちで好感できます。また、だれもいない滑走路から見る花火や夜空、さらに、後半みせる幽体離脱したシーンでの視点など、アニメーションも見ごたえがありました。
青少年向けのアニメですが、大人がみても心に染み入ることがまちがいなし。ただ、なんでこんな寒い時期の公開になったのでしょうかね。客入りも今一つみたいで、ちょっともったいない作品でした。
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