2021年11月24日

モスル〜あるSWAT部隊の戦い

 ISIS(イスラム国)と戦うイラク警察のSWAT部隊を描いたアクション。アメリカ映画なのにイラク警察が主役で、セリフもアラビア語というユニークな作品で、単なるアクションと思いきや、ラストに意外な仕掛けがあり、これも実話だというから驚きです。

  作品情報 2019年アメリカ映画 監督:マシュー・マイケル・カーナハン 出演:スへール・ダッバーシ、アダム・ベッサ、イスハーク・エルヤス  上映時間:102分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2021年劇場鑑賞266本



 【ストーリー】
 ISISとイラク政府や有志連合が激しい戦闘を繰り広げていたイラク第2の都市モスル。モスル警察の新人警官カーワ(アダム・ベッサ)は、仲間と共に麻薬の売人を逮捕しようとしたがISISに襲われ、殺されそうになる。そこへジャーセム少佐(スへール・ダッバーシ)率いるSWATが到着し、救出された。

 ISiSとの戦いで戦死者が続出のSWATは、叔父をカーワをその場でスカウト。ISISに家族を殺されたものしか入隊できない掟があり、この日の銃撃戦で警官だった叔父が殺されていたのだ。厳しいジャーセムを父親のように慕う隊員たちだが、各地を転戦して戦闘を続けるうちに、犠牲者が続出していき…

 【感想】
 SWATというとアメリカ映画でよく武装強盗犯と対決していますが、本作では警官というよりも完全に軍隊の一部としかみえません。警察内部からは完全に異端視され、装甲車や横流しのロケット砲を武器としているため、イラク軍との間も険悪。しかし、ある任務のために命がけでISISと戦います。

 アクションシーンはオーソドックスな戦争映画という感じですが、一般市民も容赦なく殺害するISISに、家族や友人を殺されたSWATメンバーの怒りが爆発。といって、ヒーロー映画と違って普通の警官ですから、敵味方ともバタバタとやられていきます。ドローンによる奇襲を受けたり、誤射があったりとどこで命を落とすかわかりません。銃撃戦やナイフを使った格闘がメインで、がれきの山となったモスルを再現してシビアな戦いが続いていきます。そんな戦闘のすぐ近くで幼い子供が呆然と座っているのも、まさに戦場のリアルなんでしょうね。実際に出演俳優へISISから脅迫もきたとか。

 アラブ人のひげ面でなかなか各隊員の見分けが付かないので、隊員がやられてもそれほど感情に訴えるものがなかったりしますが、これも戦死者がどんどん増える実際の戦争のあらわれなんでしょうね。イラン軍のエージェントと武器の交渉をしたり、アメリカの中東戦略の悪口をいったり、アメリカ映画ではなかなか見られないシーンもありますが、これもイラク人にとってリアルなことなんでしょう。さらに、カーワが秘密任務の内容を知った時の表情は、初めて知らされる観客と同様、戦闘とは何か苦い思いをかみしめるでしょう。

 イラク警察の実話で、エンディングロールでは本当の戦死者の名前が流れますが、ほんの数年前まで隊員たちがどんどん死んでいたという事実が何とも重たい。プロデューサーのジョー&アンソニー・ルッソ兄弟はアベンジャーシリーズの人気プロデューサーですが、原作にほれ込み、セリフはアラビア語という条件で映画化しました。
posted by 映画好きパパ at 06:00 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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