作品情報 2020年アメリカ映画 監督:ジェラルド・ブッシュ、クリストファー・レンツ 出演:ジャネール・モネイ、エリック・ラング、ジェナ・マローン 上映時間:106分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2021年劇場鑑賞274本
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【ストーリー】
アメリカ南部。北軍への警戒を強める南軍のプランテーションに捕らえられ、奴隷となったエデン(ジャネール・モネイ)は過酷な労働を強いられていた。黒人奴隷は白人の許しがなければ話すこともできず、少しでも逆らえば殺される。
現代のアメリカ。人気作家のヴェロニカ(ジャネール・モネイ)はエリザベス(ジェナ・マローン)と名乗る謎の女性のオンライン取材を受けた後、講演会のためニューオリンズを訪れる。そこで、怖ろしい罠が待ち受けているとは知らずに…
【感想】
エデンとヴェロニカの二役をジャネール・モネイが演じ、突然、理不尽な目にあった黒人女性の不屈の精神を描いています。劇中のセリフにあったけど、今でも南北戦争時代のような黒人差別は残っており、常に戦わなければならないということを描きたいのでしょう。
冒頭の南部のプランテーションのあちこちをワンカットで流して、美しいBGMと豊かな緑で心を癒されるかと思いきや、そこから脱走しようとした女性奴隷があっけなく射殺されるシーンとつながり、人間の醜さがとんでもない対比になっていました。その後も白人たちのやることのえげつないこと。怖いのが幼女まで差別が当然と思っていて、これが文化として根付いてしまうこと。
江戸時代以降、奴隷制度のない日本人からみると信じられませんが、黒人にとってみれば、1960年代の公民権運動をみても、奴隷制度というのは身近に感じているわけで、現代でもブラック・ライブズ・マター運動が起きているわけです。この映画をみても、怒りとか日本人には想像のつかないぐらい激しいのでしょうね。
予告編をみれば、だいたい映画のプロットは想像がつきますけど、それでも、ラストの馬にのって疾走するシーンの爽快なこと。差別する側は我慢しないで立ち上がらなければならないという作り手のメッセージが伝わってくるようです。アンテベラムとは南北戦争以前という意味だそうですが、映画に出てくるように今の時代にもそれが通じるというのは、現実も不気味な限り。
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