作品情報 2021年アメリカ映画 監督:バイロン・ハワード、ジャレド・ブッシュ 声の出演(日本語版):斎藤瑠希、中尾ミエ、中井和哉 上映時間:109分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2021年劇場鑑賞279本
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【ストーリー】
コロンビアの奥地に住むマドリガル家は、不思議なろうそくの力で1人1人違った魔法が使えた。ところが、魔法を与えられる儀式「ギフト」にのぞんだ少女ミラベル(声・斎藤瑠希)には何も起きず、一族で唯一魔法が使えないままだった。
それから月日がたち、今度はミラベルの従弟のアントニオ(木村新汰)にギフトが与えられる番になった。動物と話せる魔法を得て一族は大喜びでパーティーを開く。その晩、ミラベルは一族に破滅が訪れる悪夢を見る。一族の長で祖母のアルマ(中尾ミエ)も不安を感じていることを知ったミラベルは、みんなを守るために一族の秘密を知って失踪した叔父のブルーノ(中井和哉)を探し出すことにする。
【感想】
世界を救う、あるいは国を救うという物語が多いディズニーですが、本作は基本的にはマドリガル家の問題で、舞台もマドリガル家周辺で終わっています。ただ、ミクロな視点だけに普遍的な悩みが各キャラクターにあり、みそっかすだったミラベルが事態を解決しようと奔走するので親しみやすくなっています。
キャラクターデザインもミラベルは地味な眼鏡っこ。姉のイサベラ(平野綾)は見た目も美少女の人気者。どこにでも花を咲かせる魔法が使えるということで、従来だったらイサベラがヒロインになったでしょう。しかし、地味で魔法が使えないために無理に一族のためになろうとして、かえって失敗をしてしまうミラベルが主人公にしたというのは、今の時代にあったディズニーの姿勢といえます。
魔法が使えないことでコンプレックスを持ち、自分を卑下するミラベル。でも、魔法がないゆえに前向きで歩き出したことで、一族がしだいにもっていた歪みを解消していきます。例えば、ブルーノが失踪した理由は、家族を守るためであり、決して家族を嫌ったのではないのですが、突然消えたために一族は予知能力のある彼が不吉なできごとをもたらすと誤解していました。また、イサベラも美少女の人気者という役割を周囲から期待され、それを壊さないためにふるまうことが人知れずプレッシャーになっていきます。
こういう個々人の現代風の悩みを、ミラベルが解いて回ることで一族の問題も解消されます。周囲の期待にあわせるのでなく、「ありのままでいい」ということを、ここまではっきり打ち出したというのは、本当に現代風だなと思いました。また、登場人物が誤解があるにせよ基本的に全員善人というのも珍しい。ヴィランがいないのです。ハワードは「ズートピア」の共同監督ですが、多様性をさらにすすめると同時に、善人でも誤解や偏見をもってしまうと事態を悪化させるということをきっちり示したのは画期的です。
コロンビアが舞台ということで、原色、カラフルな背景デザインにラテン系でにぎやかなキャラクターたちも魅力です。日本語版はフレッシュな斎藤を人気声優の中井、平野、それに大ベテラン女優の中尾が支え、良い感じ。子供から大人まで楽しめる作品になりました。
【2021年に見た映画の最新記事】
僕も吹き替え版で観たのでまったく同じ感想になりました。
その意味では選択ミスでしたね。
せっかく歌の上手い中尾ミエさんだったりしたのに…勿体ない事しました。
ミュージカルは歌が重要視されるので
ちょっともったいなかったです