2021年12月05日

愛のまなざしを

 メンヘラ系の尖った愛情を描いておりしんどい部分もあるのですが、邦画では中年男女の恋愛映画は貴重です。だれが何を隠しているのかわからないサスペンス風味もあり、愛のやっかいさがうまく描けていました。

 作品情報 2020年日本映画 監督:万田邦敏  出演:仲村トオル、杉野希妃、斎藤工  上映時間:102分 評価★★★(五段階) 観賞場所:キネカ大森 2021年劇場鑑賞280本



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 【ストーリー】
 精神科医の滝沢(仲村トオル)は死別した妻の薫(中村ゆり)の幻影に悩まされ、息子の祐樹(藤原大祐)ともまともに向き合うのを避けていた。ある日、患者として来た綾子(杉野希妃)が恋人の斎藤(万田祐介)からパワハラにあっており、治療として別れるようアドバイスする。

 やがて医師と患者という壁を越えて心が近づき、病気が治ったためはれて付き合うことになる。だが、綾子の過剰ともいえる滝沢への愛情は周囲の人を振り回した。薫の弟の内山(斎藤工)は、綾子と会って不審な点に気付く…

 【感想】
 メンヘラだから何を描写しても納得できそうな気がしますけど、実際にこういう人が近くにいたら大変だな、というのが正直な感想でした。もっとも綾子だけでなく滝沢にも内山にも秘密、落ち度があり、それがまた人間らしいのですけれど、周囲の人をますます混濁させていきます。

 幻影をみるほど亡き妻への思いのある滝沢。綾子にとって死者が相手なだけに愛情勝負には絶対に勝てないわけです。もともと精神的にバランスの崩れていた綾子がそれでエキセントリックに走るというのは想像できたのですが、優秀な精神科医であるはずの滝沢もシンクロして心が壊れていくというのは何とも哀れ。

 一番かわいそうなのは思春期の息子の祐樹で、父の異性愛へののめり込みが、親子愛などどこかへ吹き飛ばしてしまい、これはちょっときつい仕打ちだわと思わせました。息子からにげたことは、滝沢の心の弱さ故なんでしょうけど、親になるというのは子供に責任をもたなければならないという当然のことを実感。斎藤は綾子にDVをしていたわけですけど、滝沢の行為もネグレクトですから、結局似たもの同士なのかもしれません。

 テーマの割りに落ち着いた演出ですが、それゆえにクライマックスも途中でなんとなく想定できてしまいます。愛のエゴイズムというのは伝わるけど、メンヘラでましましとなっているから、一般的な愛情とは違ってしまうのかなという気もしてしまいました。それにしても仲村トオルは老けないなあ。
posted by 映画好きパパ at 19:40 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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