作品情報 2021年日本映画 監督:金子修介、共同監督:宮下玄覇 出演:寺田農、谷村美月、永島敏行 上映時間:135分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ日本橋 2021年劇場鑑賞281本
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【ストーリー】
武田信玄(永島敏行)に甲斐を追放され、紆余曲折の末足利義昭に仕えた武田信虎(寺田農)は、織田信長(渡辺裕之)打倒のため兵を集めて各地を回っていた。だが、信玄が三方ヶ原の戦いに勝った後、重病にかかったという情報をえて、信玄を助けるため甲斐に戻ることを決める。
娘のお直(谷村美月)とわずかな配下を率いて京から甲斐に向かうが、途中で織田の配下の襲撃を受け、家老の土屋伝助(隆大介)が犠牲になるかわりに、何とか信濃まで入った。そこで、信玄の弟、逍遥軒(永島敏行)と再会。信玄の後継者の勝頼(荒井敦史)や重臣たちに策を授けようとするが、重臣たちの派閥争いや、武勇にばかり走る勝頼から相手にされない。彼らに見切りをつけた信虎は、何とか武田家の血筋を絶やさないよう策を練るのだが…
【感想】
武田信玄生誕500周年事業で、山梨県では盛り上がっているらしいですが、なぜ、父親の信虎の映画になったのかはわかりません。ただ、武田信玄を描いた作品でも、信虎は追放されるまでの登場なので、晩年に信濃へ戻っていたことは知りませんでした。どこまで史実かわからず、終盤〜オチは明らかなフィクションですが、にやにやしながら楽しめる気軽さがあります。武田家の滅亡の経緯に関しては、さもありなんという内紛ぶり。天目山の戦いもしっかり取り上げています。
信虎役の寺田農はひょうひょうと演じており、極悪非道の乱暴者とのイメージとはほど遠い。最近の研究では、そうしたイメージは後世付けられたものだという説もあるので、それにのったのかもしれません。彼の配下や武田家重臣、あげくは信虎の愛猿など多くの登場人物が出てきて、そのたびに字幕で紹介されるのですけど、あまりにもキャラクターが多くくてろくに活躍しないうちに退場している人もおり、ちょっと混乱しました。
合戦シーンは局地的な戦闘に限られていますが、投石や煙幕といった当時使われていて、時代劇ではなかなか登場しない武器もでるなど工夫しており、観ていてあきることができません。衣装は最近の邦画で引っ張りだこの宮本まさ江を起用しており、お直をはじめとする女性陣の着物はもちろん、男性陣の甲冑なども目を引きます。
上杉謙信役に榎木孝明を起用しており、本作が遺作となった隆大介が信長役だったら良かったのに、と思ってしまいました。また、これまたフィクションでしょうが、信虎の配下の黒川新助(矢野聖人)とお直の淡い恋も描かれています。お直は当時のメイクに沿った形の白塗りだったので、当初は谷村と気付きませんでしたが、さすが芸達者な彼女だけあり、コメディリリーフ的に話に色を添えてくれました。
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