2021年12月13日

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 児童虐待をテーマにしたとあり、観る前から覚悟していましたが、想像以上にヘビーな作品でした。でも、今もどこかで映画で取り上げられたのと同じようなことが起きているのでしょうね。

 作品情報 2021年日本映画 監督:加門幾生 出演:中山優馬、夏菜、吉沢悠  上映時間:109分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマズ港北ニュータウン 2021年劇場鑑賞289本



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 【ストーリー】
 多摩南児童相談所の新人職員、坂本大河(中山優馬)は着任早々、児相の判断で親元に帰した女児が虐待死される事件が発生。世間から児相は非難を浴び、気分はどん底となり辞職を決意する。

 だが、6歳の少女、増田星羅(太田結乃)が傷だらけで病院に運ばれ、義理の父親、勝一(吉沢悠)が虐待死、母親の典子(灯敦生)も勝一からDVを受け、虐待に加担している様子だった。何とか星羅を守ろうと職に戻る大河は、弁護士の秋庭詩音(夏菜)と協力して彼女を保護しようとする。だが両親ともDVを否定。さらに、官僚組織の事なかれ主義や保身にぶち当たり… 

 【感想】
 冒頭から児童虐待シーンが続き、目を背けそうになります。吉沢悠の外では優しいイケメン風の男が、家庭に帰ると精神がゆがんで過激なDVに走るというのは、実際にもこういうケースがあるようで何とも言えません。いかにも怪しい親だけでなく、外面が良くても怖ろしいことをする人がいるのです。実は以前、仕事でお世話になった人が何年かたった後、DVで逮捕されたのをニュースで知り仰天しました。有名企業に勤めて温厚そうな人だったのに、人間、陰では何をしているのかわからないと愕然としたことを覚えいます。

 一方、新人職員として緊張する大河に先輩の中井(矢柴俊博)はやる気がありません。通報を受けて向かった先では暴言を浴びせられ、役所の上司からは少ない人数で膨大な仕事を押し付けられ、残業続きで家族から見放される。これでは一刻も早く辞めたくなる気持ちもわかります。ただ、それでも必死になっている職員が多いのも事実。そうした意味で中井が単なる悪役になっているというのはちょっともったいなかった。

 さて、パンクしそうな児童相談所の現状もわからずマスコミや、それを見た市民からバッシングされる日々。一度は心が折れた大河も目の前の星羅の命を救おうと、再びやる気に火がつきます。周囲が敵だらけでも子供を救えるのは児相だけ。詩音という専門家の協力も得て、動き回る大河ですが、ここでも官僚組織の壁にぶちあたります。転居前のデータは来ておらず、裁判は両親の証言優先で、幼児の事情は軽視しています。東京都の児相という実名をだしているのに、役所の欠陥をきちんと表しているのは立派。たまたま班長の安川(前川泰之)は大河の行動力を評価しましたが、こういう属人的では本当はだめで、きちっと予算とシステムをつけるべきなのに、もどかしい限りです。

 驚いたのは制作予算が少ないためか、新潟に出張に行くシーンで突然、新潟の名所紹介が始まったこと。しかも新潟の児相所長役は滝川広志=コロッケですし、あまりにハードなシーンが続くので、ちょっと息抜きを入れようということなんでしょうか。このシーンを除けばひたすらハードなシーンが続きます。

 児童虐待は後を絶たず、コロナ禍でシングルマザー、ファザーの貧困化は進んだともいわれています。本作は映画ですから、星羅役の子が傷だらけになってもお芝居でしかありません。でも実際にこうした悲惨な出来事は起こっており、あとは、大河や詩音のような熱意と能力ある担当者がどれだけいるのか、ぼく個人でも何かできることはないのかといろいろかんがえさせられました。
posted by 映画好きパパ at 05:56 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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