2021年12月18日

衝動

 舞台挨拶は和やかだったのですが、ハードな内容にびっくり。売人と風俗嬢という社会の底辺にいる2人の純愛と激しい暴力は今時貴重なプロットでした。想像もつかないラストの急展開も印象的です。

 作品情報 2021年日本映画 監督:土井笑生 出演:倉悠貴、見上愛、村上淳  上映時間:117分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:HUMAX池袋 2021年劇場鑑賞294本



ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村
 【ストーリー】
 家出して東京でネカフェ暮らしをしている17歳のハチ(倉悠貴)は麻薬組織の下っ端の売人をしている。客とのトラブルでボコられて道端に倒れたとき、アイ(見上愛)という少女が手を差し伸べてくれる。だが、彼女は風俗嬢で、あるトラウマからしゃべることができなかった。

 それぞれ傷ついた人生をあゆみ、人のやさしさに触れたことのなかった2人だが、反発しつつも次第に接近していく。しかし、ハチは組織のリーダーのショウヤ(見津賢)から目をつけられてしまい…

 【感想】
 コロナ禍の東京を背景に、底辺で生きることしかできない少年と少女の物語。2人とも欠落したものがあるし、その理由はドラマティックとはいえ何とも哀しい。また、ショウヤやその愛人のユウコ(錫木うり)といった周囲も、ちょっとずつ狂っています。こんな世の中でレールからはみ出してしまったら、狂って生きていくしかないのでしょう。

 ハチがネカフェの店員(山本月乃)との何気ない会話から少しずつ人間性を取り戻そうとしている描写をみるとホッとします。しかし、世の中ハードモードだとそんなに甘くない。厳しい現実がハチとアイの前に立ちふさがっていきます。このやるせなさに包まれた中盤までがあったからこそ狂気、バイオレンス、アブノーマルなセックスで疾走する後半がよりいっそう鮮やかに見えます。特に後半の展開は予想もつかないことの連続であり、脚本も手掛けた土井監督の凄腕に驚かされます。

 ハードな内容だけに舞台あいさつで見上と見津、錫木が年頃っぽい若さで、ころころ笑いながら登場したことを思い返すとほっとします。舞台あいさつに登場しなかった倉が撮影前日にネカフェに泊まって役作りしたり、見上、錫木がオフでカラオケにいったり、若い出演者たちの映画への思いや、共演者で信頼しあってることが伝わってきました。一方、舞台挨拶は上映前だったのですが、上映後だったら映画のハードな世界観がぶち壊しになったので良かったかも。

 倉悠貴は前日の「スパゲティコード・ラブ」に引き続いての主演作ですが、群像劇だった「スパゲティ〜」と違い、ハードなシーンにも体当たりで作品をひっぱっています。ヒロインの見上も初期の小松菜奈を思い起こさせる強い目力に、これまたしんどいシーンもこなしており、今後が楽しみ。さらに、ベテランの村上淳をこれ以上ないほどうまい役柄ではめこんでおり、巧い演出だとうならされました。

 主役達がほとんどマスクをしていませんが、ネカフェでのマスクを含めてコロナ禍の閉塞した現代をうまく表現しています。この時期ならではの夜の渋谷の見せ方もいい。青く尖った青春映画で、上映館は少ないですが、今年のインディーズ邦画は本当に当たり年だと実感しました。
posted by 映画好きパパ at 07:30 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。