2021年12月19日

パワー・オブ・ザ・ドッグ

 ベネディクト・カンバーバッチがオスカー候補と名高いシリアスな愛憎劇。緊張感もったまま続くので疲れました。ちょっと見ただけでは分かりにくいところや観客の解釈に別れるところも多いのでとっつきにくかった。

 作品情報 2021年アメリカ 、イギリス、 ニュージーランド、カナダ、オーストラリア映画 監督:ジェーン・カンピオン 出演:ベネディクト・カンバーバッチ、キルステン・ダンスト、コディ・スミット=マクフィー  上映時間:127分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:シネリーブル池袋 2021年劇場鑑賞295本



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 【ストーリー】
 1920年代のモンタナ。牧場を経営するフィル(ベネディクト・カンバーバッチ)は頭はいいが粗暴な男だった。牧場の従業員らと行った食堂で、そこの息子ピーター(コディ・スミット=マクフィー)が女々しいとからかう。

 一方、フィルの弟のジョージ(ジェシー・プレモンス)や優しく、物静かだった。やがて、ピーターの母親で未亡人のローズ(キルステン・ダンスト)と結婚する。同じ牧場で生活するうちに、フィルとジョージ、そして、フィルとピーターの関係がいつしか歪んでいく…。

 【感想】
 当初、フィルは西部劇によくいう粗暴、粗野なマッチョにみえました。しかし実はイエール大を卒業したインテリで、マッチョに振る舞うのも理由があることが次第にわかっていきます。一方、フィルに怯えながらも仲よく暮らしていたジョージは、優しいだけで牧場主としての能力はありません。そして、結婚後もフィルにバカにされるピーター、複雑な人間関係に次第に酒に逃げるようになるローズと、物語が進むにつれて、登場人物たちが様変わりにしていきます。

 だれもが多面的な要素を持っており、粗暴そうに見える男が頭が良かったり、弱そうに見える男が実は…というキャラクター設定はおみごと。また、後半の物語はフィルとピーターの緊張をはらんだ関係にフォーカスされていきますが、2人の本心がどこにあったのか、説明描写は避けて観客に判断を任せることにより、見ている僕もいろいろと思いをめぐらせてしまいました。鑑賞後、ネットニュースやブログをめぐって他の人がどんな感想をもったのかついついみてしまいました。

 モンタナの大自然とは裏腹に起きる人間の心理劇を静謐かつ緊張感もって描いています。最近のハリウッドのコードにそった内容もありますし、伝統的な西部のマッチョを突き放しているような描写もあります。カンバーバッチの役柄は難しかったとはいえ、正直、オスカー候補と騒がれるほどなのかなあと思うことも。

 ジェシー・プレモンスとキルステン・ダンストは実際の夫婦だそうで、ダンストはアルコール依存症の経験者でもあります。そういう俳優たちのリアルな状況も頭によぎりました。母子の関係も含めて、淡々としているのにいらいらする描写も多く、うっかりすると見過ごしてしまう描写もあり、最後まで緊張感の抜けない作品でした。
posted by 映画好きパパ at 07:05 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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