2021年12月21日

昨日より赤く明日より青く

 エグザイルらLDHの楽曲と俳優によるオムニバス映画シリーズ第4弾。山下敦弘ら一線級の監督6人が集結し、どれも特徴、見ごたえのある作品になっていました。

 作品情報 2021年日本映画 監督:SABU、新城毅彦、山下敦弘、森義隆、真利子哲也、久保茂昭 出演:佐野玲於、醍醐虎汰朗、門脇麦  上映時間:125分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2021年劇場鑑賞297本

 【ストーリー】
 シカゴで韓国系米国人のハナ(ステファニー・パーク)と付き合っている晴人(片寄涼太)は、2020年初め、東京五輪のチケットを買いに日本に一時帰国する。だが、晴人が不在の間、アメリカではコロナ被害が拡大し、ハナは不安に思う。一方、そんな彼女の状況をしらない晴人は幼馴染のマイ(藤井武美)と再会し…(真利子哲也監督、COYOTE)

 バス停にたたずむ青木(関口ランディ―)は、見知らぬ女性(阿部純子)が結婚式の引き出物の袋を忘れているのに気付き声をかけた。実はその女性里実は片想いし続けた男の結婚式に呼ばれた帰りで傷心していたのだ。一方、青木が婚約指輪を海に投げ捨てようとしていたことに気付いた里実はそのことに突っ込む。だが、それには理由があり…(新城毅彦監督、真夜中のひとりたち)

 【感想】
 6本のうち、ストーリー紹介にあげた2本がとりわけお気に入りですが、残りの4本の水準も高く、なかなか見ごたえのあるオムニバスになっていました。特に「COYOTE」は、バイオレンス映画の印象が強かった真利子監督が、コロナ禍に翻弄され、日本とアメリカという距離の差に絶望してりまうような時事問題を描いていて、繊細な作風にびっくり。

 同じように言葉の壁がモチーフになっている、久保茂昭監督の「水のない海」も今の日本にぴったりのテーマで、「ハイロー」シリーズの監督という印象とは真逆でした。また、山下監督の「言えない二人」は友達以上恋人未満の男女(白濱亜嵐、門脇麦)の切ない都会のおしゃれな短編となっており、地方を舞台に情念どろどろの印象が強い山下監督作品にしては異色なのではないでしょうか。

 一方、オムニバス最後の「真夜中のひとりたち」も大人の出会いと別れ、都会の人間の孤独を描いた切ない短編。阿部純子の関西弁キャラが何とも魅力的であり、ベテランの新城監督のストーリーテリングの巧さが魅力です。森監督の「怪談 満月蛤坂」は「世にも奇妙な…」風の怪談、SABU監督の「BLUE BIRD」は貧しい兄弟愛をシュールなギャグを交えて取り上げており、単に恋愛オムニバスでないところも魅力的です。

 LDHのオムニバスシリーズは4回目で、これまでも一線級の監督が登場しており、巧い作品が多い印象です。また、LDHの俳優も歌も「ハイロー」と違って(笑)、落ち着いた切ない感じの演技、主題歌が多く、毎回楽しみでした。本作も上質の作品が多くて、邦画ファンを満足させてくれるでしょう。
posted by 映画好きパパ at 05:53 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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