2021年12月24日

恋の病〜潔癖なふたりのビフォーアフター

 予告編でポップなラブコメを期待していって、実際前半はその通りなんですが後半は切ないラブストーリーになっていて驚きました。ラストの切り方もうまいなあ。

 作品情報 2020年台湾映画 監督:リャオ・ミンイー 出演:ニッキー・シエ、リン・ボーホン  上映時間:100分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:キネカ大森 2021年劇場鑑賞300本



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 【ストーリー】
 強迫神経症で極度の潔癖症の青年ボーチン(リン・ボーホン)は家を徹底的に掃除し、極力避けている外出時にはマスクに防護服を来てとにかく手洗いをしなければならず、周囲からは変人とみられて一般的な社会生活が送れなかった。

 ある日、電車のなかで自分と同じような格好をした女性ジン(ニッキー・シエ)と出会う。彼女は4時間以上外出すると顔に湿疹ができ、さらに万引きをする窃盗症まで発症していた。2人は運命のようなものを感じ、同棲することになった。いつまでも幸せな日々を続くことを願っていたが、ある日、ボーチンの症状が突然治ってしまい…

 【感想】 
 コロナ前の作品だから2人の潔癖症が周囲から異常にみえたのだけど、コロナ禍の世界だとマスクをして難度も手洗いをするのは当たり前で、世界中がビフォーコロナからは信じられない強迫神経症にかかっているようだな、と思ってしまいました。世界はあっという間に変わるものだと。

 前半は強迫神経症のおかしさをコメディチックに描いており、ずっと孤独だとおもっていた2人が自分と同じ境遇の相手を見つけたときの喜びというのが何とも微笑ましい。ファッションや部屋のインテリアも原色のものを使い、2人のカラフルな世界を表しているようでした。

 しかし、後半、ボーチンの症状が治ってからはシリアスなラブストーリーになります。強迫神経症だから大げさに描いているけど、ある意味ミシェル・ウィリアムズの名作「ブルーバレイタイン」のように、愛は永遠に気付かず、愛が終わった後はあれほど良く見えたことも嫌でたまらなくなるということを描いています。2人の歯車がちょっとずつ狂いだし、あれだけ完璧に見えた世界が壊れていくのは物悲しいし、切なくなります。

 ラストにはひねった技を繰り出してきてちょっと驚きました。けれどもそれだけ普遍的な話だといえるわけで、単純なハッピーエンド、アンハッピーエンドにするのではなく、みている観客に愛について考えさせるというのは、脚本も手掛けているリャオ・ミンイー監督の巧さだと感じ入りました。

posted by 映画好きパパ at 06:00 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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